ー日常ー街の住人達【5】

ーエメラダ:ミハイル宮殿ー

チコ「っと、いうことでお米や塩、果物や肉、魚などを用意しました。」

とってつけたかんじはあるが、供物を持ったそこそこ大きな祭壇を作り上げた。

ミハイル「うむ、では……かしこみかしこみ申す~。たかまがはら~、あまのいわと~、まどんなみーしゃぱみゅーきゃりきゃり~~」

ムーン1「ずいぶんいい加減な祝詞(のりと)だなぁ」

ミハイル「宅配便の神さま~貢物を気にいっていただけましたらなにとぞ真面目にお戻りください~~」

「「「お戻りください~」」」

ミハイル「うん?んっんっ」

チコ「殿下?」

ミハイル(?)『気にいるかっ!!』

ムーン1「えっ」

ミハイル(?)『肝心なものがないではないかっ!』

ミハイル「はっ!?肝心なものってなんだ!」

チコ「えーとえーと貢ぎ物に足りないものは……」

ムーン1「あれ、そういえば……お酒を忘れてました。」

ミハイル「それだ!それが肝心なものだ!お神酒を持ってこい!」

ムーン1「ビールですかワインですか日本酒ですか!」

ミハイル「普通の酒じゃインパクトがない!エメラダ銀座に造り酒屋がある!こないだ商店街の会合にいったとき、その店に頼むとオリジナル焼酎が作れるという話が出た!それを使おう!」

チコ「オリジナル焼酎!?ものすごくらしからぬワードですがどうするんです!」

ミハイル「もしもし造り酒屋!?頼みがある!」


~~


酒屋「へいお待ち!」

連絡してすぐ「宅」とかかられたラベルが張られた焼酎が届いた。

チコ「「宅」と名付けたんですか?それを?」

ミハイル「これを炭酸で割れば……「宅ハイ」だ!神様、宅ハイです!どうぞ!」

ミハイル(?)『おお、美味そうじゃ。ぐびっ!美味いおかわり!』

ミハイル「はいっ!」

ミハイル(?)『おかわり!』

ミハイル「はいっ!」

ミハイルはひとり、酒をつくる、神様に身体を貸して宅ハイを飲み干す、酒をつくる、飲み干すを繰り返し……。

ミハイル(?)『ウイーーップ!良い気分じゃあらためてまじめに仕事をしても良いという心気持ちになってきた。よし、仕事に戻るぞ。』

というわけで宅配便のシステムは元に戻りました。しかし、お酒など飲んだこともないミハイルはおかげで地獄の二日酔い。

十日間寝込んでしまいましたが、日ごろの行いが悪いせいだと誰にも同情されなかったそうです。
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