ー日常ー街の住人達【5】

ーエメラダ:ミハイル宮殿ー

ムーン1「あーあ忙しいなぁ」

ムーン2「通常の書類仕事に加えて荷物の発送伝票の整理」

ムーン1「黒板拭きにチョークの補充」

ムーン2「黒板なんかあったっけ」

ムーン1「例えばだよ」

ムーン2「例えがおかしいけど、とにかく雑用が多すぎる。」

話ながら廊下を歩いていると、応接室のテーブルの上に小包が置いてあった。

ムーン1「あれっ?昨日発送したはずの荷物だ。きのう宅配便の発送を頼んだのは誰だっけ」

ムーン20「ぼくが頼まれた」

ムーン1「なぜ発送しない」

ムーン20「したよ」

ムーン1「ウソをつくな応接室に置いてあるじゃないか」

ミハイル「なんの荷物だ」

ムーン1「ダイヤです」

盛大にずっこけるミハイル。

ミハイル「ちょっと待て貴重な商品を宅配便で送ってるのか」

ムーン1「かえって安全なんですよ。誰も宅配便の荷物の中にダイヤが入ってるなんて考えませんから盗まれる心配がないんです。」

ミハイル「そんなもんかな」

ムーン1「ところが」

ミハイル「ところが?」

ムーン1「盗まれる心配はないものの、どこかのトンマが発送し忘れるし」

ムーン20「送ったってば、ほら黒猫トヤマの発送伝票」

差し出してきた紙は確かにトヤマの伝票だった。

ムーン1「ありゃホントだ。おかしいな見間違いかな」

チコ「あのー、応接室に荷物が置きっぱなしでしたけど」

ちょうど、チコがさっきの荷物を運んできた。

ムーン1「やっぱりあるじゃないか」

ムーン20「あれぇおかしいな。」

ムーン2「発送したのがもどってきたのかな」

ムーン20「待ってくれ。もしもし黒猫トヤマさんエメラダからアメリカのユーアンド商会に送ったはずの荷物が戻ってきてるんですけど……えっ、伝樋番号?えーと、発送伝票の番号は……×××の××××の×××」

『~~』

ムーン20「えっ、まちがいなくユーアンド商会に届いてる?受け取り伝票にウイリアムというサインが?」

ミハイル「どういうことだ」

チコ「ユーアンドさんに確認してみたらどうですか?」

ムーン20号は電話を切って、今度はユーアンドにかけた。

ムーン20「もしもしユーアンドさん、エメラダです。お世話様です。恐れ入りますがウイリアムさんをお願いします。」

『~~』

ムーン20「はっ?ウイリアムという名前の社員はいない!?」

「「「ええっ!?」」」

チコ「どういうことです?」

ミハイル「なんだかミステリアスみたいなことになってきたな」
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