ー日常ー街の住人達【5】

ー白金平:商店街ー

「はい、どうもありがとう。」

北斎「日本てどこのお店で何を買っても何を食べても同じような安定した品質のものが出てくるから不思議だ。やっぱり食べることに相当なこだわりが……ん?」

視線を感じて振り向いてみるとガングロ、ド金髪、ど派手メイクの少女と思われる子が居た。

このとき、北斎はヤマンバメイクという存在を毛先も知らなかった。咄嗟にスマホを取りだして写真を撮ろうとしたが逃げられてしまった。

絵里「お帰りなさい。迷わずに戻れました?一本道だから迷うほどがおかしいけど…」

北斎「……」

絵里「どうかしました?」

北斎「ええと、日本て先進国だよね?」

絵里「……馬鹿にしてます?」


~~


その日の夜、もはや定例となった商店街活性会議は具体的な話合いになった。

北斎「ご存知の通り商店街には空き店舗が何件も存在しています。今回、僕が提案するのは、この空き店舗を活用した振興策です。」

「「「……」」」

北斎「地域住人の皆さんによる参加型レストラン「ドリームハウス」と仮に呼ぶことにしますが如何でしょう?」

「「「参加型!?」」」

北斎「はい、ご当地ならぬご家庭グルメです。。「これは我が家の自慢の一品」どこの過程にもそういうメニューってあるでしょう?メインはその逸品を中心にした定食。一種類だけでいいんです。」

「一種類だけじゃお客は呼べないよ」

北斎「はい、そこで一日単位で参加者に交代してもらいます。こうすることでメニューが日替わりになる。参加資格は高校生以上から」

「「「高校生?」」」

北斎「若者に起業する喜びを知ってもらうのも目的のひとつです。一日だけとはいえ自分の店を経営することは大きな財産になるはず。」

「「「……」」」

絵里「無理よ。だって…お店を開店するのにいくら必要かわかる?椅子やテーブル…食器…」

北斎「ホテルのレストランにはいっぱいあるよね?客室も」

絵里「え?そりゃあるけど…」

北斎「古くなったらどうしてる?」

絵里「そりゃ当然処分して入れ替えて…………!」

「まさか…」

「廃材を利用!?」

北斎は頷いた。


~~


北斎「アメリカにいた時、ショッピングモールの再生に同じようなことをしたことがあるんだ。日本でもうまくいくかどうかは未知数だけど…日本人の食に対する意識はアメリカ人の比じゃない。条件としてはアメリカでやったときよりいいと思う。」

絵里「…そう上手いこといくかしら?」

北斎「あの時、僕は大学生で仲間たちと立ちあげた会社の初仕事がそれだった。企業アドバイザーなんてのはイベント屋みたいな仕事が多くてね、結局のところ…一緒に頑張ってくれる人間をどれだけ集められるかだね。そこがちょこっと不安なところだ。
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