ー日常ー街の住人達【5】

ーロンドン:テレビ局ー

司会「いらっはゃーい!特技を持った素人さんが妙技を争う人気コーナー「これであなたも有名人」始まりでーす!」

「「「ワーーーッ!」」」
パチパチッ!パチパチッ!

チコ「ロンドンでもこの手の番組はあるんですね…」

おっさん「世界共通だ」

チコ「あの、なんで変装を?」

おっさん(ミ)「国王だとばれたら色々と面倒だからな。」

チコ「はぁ…」

司会「エントリー№一番はムーンゴッシュマン号さん!」

審査員A「ゴッシュマン?どこかで聞いたな」

審査員B「なにを見せてくれるんでしょう」

司会「ドラムロール!」

ダダダッダダダダダッ!

ゴッシュマン号は立てかけられたガラスを木槌で叩いた。瞬間、星の形をした破片が飛び散った。

審査員C「おっ」

審査員B「えっ?」

審査員A「ふん、なにが特技だ。仕掛けのあるガラスを割っただけじゃないか。」

チコ「どうします?」

ミハイルはスタジオ内を見渡してあるものを指さした。

おっさん(ミ)「ゴッシュマン号、あの間仕切りガラスを」

ゴッシュマン号「はっ」

いわれた通りに間仕切ガラスを叩くと今度はスタジオにある業務用のカメラの形に割れた。

審査員A「ガラスがテレビカメラの形に!」

審査員B「間仕切りに仕掛けがあったはずはない!」

審査員C「こりゃどういう現象だ!!」

このテレビ番組をきっかけにしてゴッシュマン号のガラス割り芸は大フィーバー!

なにしろ何の変哲もないガラスからはっきりそれと分かる形が魔法のように出現するのです!ビジュアル的に大変わかりやすいので特に子供たちに大人気!

テレビに舞台に、また各種パーティーの余興にゴッシュマン号はひっぱりだこです。

マネージメントはミハイルがやっているのでギャラをどんどんつり上げ大儲け、笑いが止まりません。

ミハイル「ぎゃひはひはひはは!」

チコ「小銭の風呂につかりながらきしょくの悪い奇声をあげないでください。」

ミハイル「今度は、ゴッシュマン号が叩きだした「造形ガラス」オークションで売るぞ!今、最先端の流行の品だ!ばかすか売れてさらに儲かるのは確実だー!」

ゴッシュマン号「楽器はダメでしたが父譲りの波動(バイブレーション)はガラス芸で開花しました。父が生きていたら、きっと喜んでくれたでしょう。」

ミハイル「お母さんは健在なのか?」

ゴッシュマン号「……失礼します」

チコ「ゴッシュマン号さん?」

ミハイル「なにか悪い事を聞いたかな?」
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