ー日常ー街の住人達【5】
ーロンドン大使館ー
の裏手にある勝手口の窓ガラスはいつも汚れています。
L(ロンドン)ムーン「おかしいなぁ。拭いても拭いても朝になると外側が汚れてるんだよなあ。この丸いあとはいっいなんだろう」
不思議に思っていたある日、炊事当番のムーンが、たまたま早起きすると勝手口の方からポーンッポーンっと音が聞こえました。
炊事ムーン「なんだ?」
勝手口を開けた瞬間、顔面に衝撃。
「わっ!」
「まずい!」
「逃げろ!」
炊事ムーン「逃げるな!何だ君たちはここでなにをしてるんだ!」
「あのっ!そのっ!」
話を聞いたら、近所に住む少年野球チームの子供たちでした。
少年A「この階段の上からドアまでが、ちょうどマウンドからバッターボックスの距離で」
少年B「おまけにあの窓ガラスがストライクゾーンと同じ大きさなんです。」
少年C「それで毎朝、早朝練習に行く前にやわらかいゴムボールを使ってコントロールをつける訓練を」
炊事ムーン「なるほどそれで丸いあとが……。練習熱心なのはいいけどそういうことはよそでやりなさいね。」
「「「はーい、すみませーん」」」
~~
Lムーン2「いくら、やわらかいゴムボールでも毎日のことだから、ガラスにヒビが入ってる。」
Lムーン「このままじゃ、ちょっとした衝撃でも割れて危険だ。今のうちに新しいガラスと交換しておけ。」
Lムーン2「はずしたガラスはどうする?」
Lムーン「細かく砕いて厳重に梱包して家庭ごみの日に出すんだ。それくらい自分の頭で判断せんか」
Lムーン2「へーい。」
ガラスを外してシートを敷いて飛び散らないように斜めに立てかけて、木槌を構える。
「いけないなあ」
Lムーン2「なんだゴッシュマン号なにがいけないって?」
ゴッシュマン号「木槌の構え方が芸術的じゃないよ」
Lムーン「また始まった」
Lムーン2「悪い奴じゃないんだけど、どうも高慢ちきなところが鼻につく。」
『ぼくが大学時代に、亡くなった父は、偉大な芸術家だったんだ。』
これがムーンゴッシュマン号の口癖です。
父親のシニア=ゴッシュマンはその言葉の通り、世界的なチェロ奏者でした。何しろ彼が扱うとどんな安物のチェロも聞くものの魂を揺さぶるような素晴らしい音色を発する名器に変わってしまうのです。
彼の手から楽器を変貌させる不可思議な波動(バイブレーション)のようなものがでいるのではないかという憶測から、彼は「奇跡の手を持つ男」とまで呼ばれたのでした。
の裏手にある勝手口の窓ガラスはいつも汚れています。
L(ロンドン)ムーン「おかしいなぁ。拭いても拭いても朝になると外側が汚れてるんだよなあ。この丸いあとはいっいなんだろう」
不思議に思っていたある日、炊事当番のムーンが、たまたま早起きすると勝手口の方からポーンッポーンっと音が聞こえました。
炊事ムーン「なんだ?」
勝手口を開けた瞬間、顔面に衝撃。
「わっ!」
「まずい!」
「逃げろ!」
炊事ムーン「逃げるな!何だ君たちはここでなにをしてるんだ!」
「あのっ!そのっ!」
話を聞いたら、近所に住む少年野球チームの子供たちでした。
少年A「この階段の上からドアまでが、ちょうどマウンドからバッターボックスの距離で」
少年B「おまけにあの窓ガラスがストライクゾーンと同じ大きさなんです。」
少年C「それで毎朝、早朝練習に行く前にやわらかいゴムボールを使ってコントロールをつける訓練を」
炊事ムーン「なるほどそれで丸いあとが……。練習熱心なのはいいけどそういうことはよそでやりなさいね。」
「「「はーい、すみませーん」」」
~~
Lムーン2「いくら、やわらかいゴムボールでも毎日のことだから、ガラスにヒビが入ってる。」
Lムーン「このままじゃ、ちょっとした衝撃でも割れて危険だ。今のうちに新しいガラスと交換しておけ。」
Lムーン2「はずしたガラスはどうする?」
Lムーン「細かく砕いて厳重に梱包して家庭ごみの日に出すんだ。それくらい自分の頭で判断せんか」
Lムーン2「へーい。」
ガラスを外してシートを敷いて飛び散らないように斜めに立てかけて、木槌を構える。
「いけないなあ」
Lムーン2「なんだゴッシュマン号なにがいけないって?」
ゴッシュマン号「木槌の構え方が芸術的じゃないよ」
Lムーン「また始まった」
Lムーン2「悪い奴じゃないんだけど、どうも高慢ちきなところが鼻につく。」
『ぼくが大学時代に、亡くなった父は、偉大な芸術家だったんだ。』
これがムーンゴッシュマン号の口癖です。
父親のシニア=ゴッシュマンはその言葉の通り、世界的なチェロ奏者でした。何しろ彼が扱うとどんな安物のチェロも聞くものの魂を揺さぶるような素晴らしい音色を発する名器に変わってしまうのです。
彼の手から楽器を変貌させる不可思議な波動(バイブレーション)のようなものがでいるのではないかという憶測から、彼は「奇跡の手を持つ男」とまで呼ばれたのでした。