ー日常ー街の住人達【5】
次の日、朝から大々的にニュースが流れた。
インターネット上の仮想空間への出店を持ち掛け顧客から金を騙しとったとして警視庁は株式会社アダムインターナショナル本部へ、家宅捜査に入り、主犯である的場裕也容疑者を逮捕…………。
そして、その夜、北斎は一条絵里に連れられてシャッター街になりつつある商店街の一角にやってきていた。
絵里「……」
北斎「気になってたんだよね。目と口が一緒に笑う」
絵里「……」
北斎「君も同じ作り笑いだ」
絵里「…………」
北斎「不安を感じた時、身体の一部を触る人は多いんだけど君は髪に触る。信じているといってたけど不安のサインを出してたから、僕も思い切って行動に出た。さらにもう一つ、君はもこの商店街を建てなおせるとも思っていない。」
立ち止まっていた絵里は笑顔で振り返っていった。
絵里「私ね、この商店街で育ったんだあ。」
北斎「……」
絵里「そこの角には薬屋さんがあってね、猫をたくさん飼っててね。お使いに行くとそこのケーキ屋さんがクッキーをくれて、お肉屋さんが揚げたてのコロッケをいつもオマケしてくれて、花屋に美人のお姉さんがいて。」
北斎「……」
絵里がひとつひとつ説明していく店舗は全て既にシャッター、つまり貸店舗状態。
絵里「夏にはお祭りがあっておみこしが出て縁日ので店がたくさん並んで。毎日が輝いていつまでもこんな毎日が続くんだ…って、私が…守るんだって一生懸命やって……なのに…なんで?どうしてどんどん消えていっちゃうの…?」
絵里はついに笑顔がくずれ、その瞳からは絶えまなく涙が零れ落ちている。
北斎「……」
~~
七津川『例えばどんな病気でも瞬時わかるお医者さんが居たとして、それをそのまま患者さんにぶつけてしまうのはいいお医者さんでしょうか?「患者さんが何といって欲しいか」私はこれを察するのがいいお医者さんだと思います。』
北斎『はぁ…』
七津川『怪しげな話でも一条さんたちが信じたいと思うのは商店街の現状がそれだけ厳しいからでしょう。ねぇ、北斎さん。あなたには何か何か遠く及ばない力を持ってるみたいね。私たちコンシェルジュはお客様の心を読む黄金の鍵を持つ仕事といわれています。あなたの持つ力、それにお客様の想いをご理解する力が加わったとき…あなたは黄金以上の…そう白銀(プラチナ)の鍵を手なする人なのかもしれませんね。』
~~
絵里「北斎さん、あなたの目で見てどう?この商店街……昔に戻せる?」
北斎「それは…できない」
絵里「……」
北斎「僕に出来るのは未来に進ませることだけだからね。でも、違う輝きを持つ街なら作れるかもしれない。僕はそのために来たんだよ。やってみよう。今のひと達だってきっと希望に満ちた明日を求めるはずだから」
絵里「うん…よろしくお願いします。」
夜の商店街で握手を交わした…。
インターネット上の仮想空間への出店を持ち掛け顧客から金を騙しとったとして警視庁は株式会社アダムインターナショナル本部へ、家宅捜査に入り、主犯である的場裕也容疑者を逮捕…………。
そして、その夜、北斎は一条絵里に連れられてシャッター街になりつつある商店街の一角にやってきていた。
絵里「……」
北斎「気になってたんだよね。目と口が一緒に笑う」
絵里「……」
北斎「君も同じ作り笑いだ」
絵里「…………」
北斎「不安を感じた時、身体の一部を触る人は多いんだけど君は髪に触る。信じているといってたけど不安のサインを出してたから、僕も思い切って行動に出た。さらにもう一つ、君はもこの商店街を建てなおせるとも思っていない。」
立ち止まっていた絵里は笑顔で振り返っていった。
絵里「私ね、この商店街で育ったんだあ。」
北斎「……」
絵里「そこの角には薬屋さんがあってね、猫をたくさん飼っててね。お使いに行くとそこのケーキ屋さんがクッキーをくれて、お肉屋さんが揚げたてのコロッケをいつもオマケしてくれて、花屋に美人のお姉さんがいて。」
北斎「……」
絵里がひとつひとつ説明していく店舗は全て既にシャッター、つまり貸店舗状態。
絵里「夏にはお祭りがあっておみこしが出て縁日ので店がたくさん並んで。毎日が輝いていつまでもこんな毎日が続くんだ…って、私が…守るんだって一生懸命やって……なのに…なんで?どうしてどんどん消えていっちゃうの…?」
絵里はついに笑顔がくずれ、その瞳からは絶えまなく涙が零れ落ちている。
北斎「……」
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七津川『例えばどんな病気でも瞬時わかるお医者さんが居たとして、それをそのまま患者さんにぶつけてしまうのはいいお医者さんでしょうか?「患者さんが何といって欲しいか」私はこれを察するのがいいお医者さんだと思います。』
北斎『はぁ…』
七津川『怪しげな話でも一条さんたちが信じたいと思うのは商店街の現状がそれだけ厳しいからでしょう。ねぇ、北斎さん。あなたには何か何か遠く及ばない力を持ってるみたいね。私たちコンシェルジュはお客様の心を読む黄金の鍵を持つ仕事といわれています。あなたの持つ力、それにお客様の想いをご理解する力が加わったとき…あなたは黄金以上の…そう白銀(プラチナ)の鍵を手なする人なのかもしれませんね。』
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絵里「北斎さん、あなたの目で見てどう?この商店街……昔に戻せる?」
北斎「それは…できない」
絵里「……」
北斎「僕に出来るのは未来に進ませることだけだからね。でも、違う輝きを持つ街なら作れるかもしれない。僕はそのために来たんだよ。やってみよう。今のひと達だってきっと希望に満ちた明日を求めるはずだから」
絵里「うん…よろしくお願いします。」
夜の商店街で握手を交わした…。