ー日常ー街の住人達【5】
ー白金:レストランー
定例となっている絵里の父親がやっているレストランでの商店街会議はこの日の夜も行われることになった。
しかも、今回はエキサイティングストリートの最終的な決定のためと的場も参加している。
的場「というわけで、いよいよ来月から本格的な運営が開始されます。お手元の事業計画書を読んでいただければご理解いただけると思いますが……出資金45万円の場合およそ一年で回収できる計算です。」
絵里「……」
的場「ですが今回この商店街の皆さん全員参加していただけるなら特別にひとくち30万円からでOKです。」
「30万…」
「30万ならねぇ……」
「世界中にお客さんができるわけだし…」
「面倒な管理も全部やってくれるんじゃ」
「30万…安いよね。」
「お願いしいてみようかしら」
「そうだねぇ…」
話がまとまりかけたその時
北斎「こんばんわー、すいません。やっぱり迷っちゃいました。」
絵里「もーー、遅いですよ!北斎さん。」
柏「……」
光臣「……」
絵里「えっと、そちらの方は……」
北斎「僕の連れです。それよりも……」
的場「やあ、どうも」
的場は笑顔を作って北斎を見る。
北斎「今、足を引きましたね。この場から逃れたいですか?」
的場「逃れるって……なんで僕が?」
北斎「えっと…ええっと…あった。的場さん、あなたが一条さんに送ったキルトは80年くらい前のアンティークの逸品だそうです。本物です。」
北斎はキルトが飾られている壁の前まで移動する。
的場「当たり前じゃないか僕が絵里ちゃんに偽物をプレゼントするわけがない。」
北斎「はい、問題はその価格です。柏さん、おねがいします。」
柏「40万」
絵里「40万円!?」
的場「!」
柏「もらったという足立区の手芸店に確認したら、その店の婆さんが話してくれたよ。「参加費用に50万円くらい必要だって言われてとても用意できないので代わりにね…」とな」
絵里「……」
的場「……」
「「「「……」」」」
北斎「今、商店街はどこも不況に苦しんでます。そんな中、あなたのプロジェクトに希望を感じてすがる様な想いで送られたこのキルト、あなた簡単に他人に渡してしまったんですよ。あなたは信じなかったキルトの値打ちも、これを贈った人も。あなたはわからなかった。どんな想いがこのキルトに込められてたか……あなたはそういう人間なんです。」
的場「ちょっと…いや…とんでもないいいがかりですよ。誤解です。ちょっと勘違いしただけで…そうだ!別の資料を持ってきます!」
柏「なら、俺達が同行しよう。」
的場「なっ、なんでっ!」
北斎「柏さんは警察関係の方です」
的場「!?」
柏「表に車を待たせてある。社内でじっくりと話を聞きながら送ってやるよ。光臣…丁重に荷物をお運びしろ。」
光臣「……」
慌てて書類の詰まったカバンに手を伸ばした的場だが音を切るような速さで光臣の持っている袋に入ったむ棒状のものがカバンに叩きつけられる。
的場「ひっ!?」
柏「さっ、行きましょうか」
水を打った様な静けさの中、的場は死刑囚のようにうなだれて連れていかれたのだった……。
定例となっている絵里の父親がやっているレストランでの商店街会議はこの日の夜も行われることになった。
しかも、今回はエキサイティングストリートの最終的な決定のためと的場も参加している。
的場「というわけで、いよいよ来月から本格的な運営が開始されます。お手元の事業計画書を読んでいただければご理解いただけると思いますが……出資金45万円の場合およそ一年で回収できる計算です。」
絵里「……」
的場「ですが今回この商店街の皆さん全員参加していただけるなら特別にひとくち30万円からでOKです。」
「30万…」
「30万ならねぇ……」
「世界中にお客さんができるわけだし…」
「面倒な管理も全部やってくれるんじゃ」
「30万…安いよね。」
「お願いしいてみようかしら」
「そうだねぇ…」
話がまとまりかけたその時
北斎「こんばんわー、すいません。やっぱり迷っちゃいました。」
絵里「もーー、遅いですよ!北斎さん。」
柏「……」
光臣「……」
絵里「えっと、そちらの方は……」
北斎「僕の連れです。それよりも……」
的場「やあ、どうも」
的場は笑顔を作って北斎を見る。
北斎「今、足を引きましたね。この場から逃れたいですか?」
的場「逃れるって……なんで僕が?」
北斎「えっと…ええっと…あった。的場さん、あなたが一条さんに送ったキルトは80年くらい前のアンティークの逸品だそうです。本物です。」
北斎はキルトが飾られている壁の前まで移動する。
的場「当たり前じゃないか僕が絵里ちゃんに偽物をプレゼントするわけがない。」
北斎「はい、問題はその価格です。柏さん、おねがいします。」
柏「40万」
絵里「40万円!?」
的場「!」
柏「もらったという足立区の手芸店に確認したら、その店の婆さんが話してくれたよ。「参加費用に50万円くらい必要だって言われてとても用意できないので代わりにね…」とな」
絵里「……」
的場「……」
「「「「……」」」」
北斎「今、商店街はどこも不況に苦しんでます。そんな中、あなたのプロジェクトに希望を感じてすがる様な想いで送られたこのキルト、あなた簡単に他人に渡してしまったんですよ。あなたは信じなかったキルトの値打ちも、これを贈った人も。あなたはわからなかった。どんな想いがこのキルトに込められてたか……あなたはそういう人間なんです。」
的場「ちょっと…いや…とんでもないいいがかりですよ。誤解です。ちょっと勘違いしただけで…そうだ!別の資料を持ってきます!」
柏「なら、俺達が同行しよう。」
的場「なっ、なんでっ!」
北斎「柏さんは警察関係の方です」
的場「!?」
柏「表に車を待たせてある。社内でじっくりと話を聞きながら送ってやるよ。光臣…丁重に荷物をお運びしろ。」
光臣「……」
慌てて書類の詰まったカバンに手を伸ばした的場だが音を切るような速さで光臣の持っている袋に入ったむ棒状のものがカバンに叩きつけられる。
的場「ひっ!?」
柏「さっ、行きましょうか」
水を打った様な静けさの中、的場は死刑囚のようにうなだれて連れていかれたのだった……。