ー日常ー街の住人達【5】

ー白金:ホテルプラチナー

北斎「ふぅ……ようやくついた」

柏「…ずいぶんと遅かったな」

光臣「……」

北斎「あ、どうも」

柏「とりあえずしばらくは自由にしてるといい。あと、こっちで使うまとまった金と携帯だ。」

北斎「わかりました。」

「北斎さん、北斎十条さん」

柏「人が来たか。じゃあ、俺らは行く。」

光臣「……」

北斎「わかりました。」

柏と入れ替わりで制服の女性がやってきた。

「申し訳ありません。支配人の百瀬は商談が長引いておりまして…」

北斎「そうですか」

七津川「チーフコンシェルジュの七津川(ななつがわ)です。よろしければ館内をご案内しますが…。」

北斎「はい、お願いします」

七津川「ふっ」

北斎「ん?」

七津川「こちらへどうぞ」

北斎「あ、はい……」

七津川華僑はわずか0.5秒で妄想を終了する。ではそのプロセスをもう一度見てみよう。

七津川『うわあ!可愛い!七五三みたい!ちょっとこの子いいんじゃない!?でもこういう子はモテそうだし。浮気っぽかったりするのよねぇ……交際・二股三股・破局……ダメねこの人とは』

北斎「何だろう?今の…?脈絡がなくて読み取れない…」

七津川「ホテルプラチナは1972年創業。客室数492、レストランは3つ、バーラウンジは2つ、その他エステやショッピングアーケードなど揃ってますが……大規模なホテルに比べれば落ち着いた大人の隠れ家的ホテルです。」

ホテル内を歩きながら要所要所で丁寧な説明、また質問にも受け答えをして案内してくれる。チーフというだけあってしっかりしている。

北斎「なるほど。自前のレストランやショップでお客を囲い込むより地元の商店街のバリエーションを生かし観光客を呼んだ方がメリットは大きい。そう考えたわけですね。」

七津川「ええ、北斎さんにはコンシェルジュの一因となってホテルと商店街の連携するイベントなどを手掛けていただきたいんです。」

北斎「ふむ」

七津川「プロジェクトはコンシェルジュの一条さんが中心になって進めますから」

北斎「一条……一条絵里さん?」

七津川「そうです地元の子でいつも笑顔の明るい子ですよ。」

北斎「明るい……そう…ですか。明るい子…」

七津川「?」

北斎「あ、いえ、なんでもないんです。」

七津川「……あっ、北斎さんはたしか十条さんでしたよね。一条と十条、数の違いですね。」

北斎「ああ、言われてみればそうですね。」
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