ー日常ー街の住人達【5】

ー常春の国:エメラダ宮殿ー

ミハイル「どうして反転スイッチのとなりにミサイル発射スイッチがあるんだ!」

ムーン1「殿下が自分で設計したんでしょーが!!」

チコ「報告いいでしょうか」

ミハイル「ああ、どうなった」

チコ「はい、直撃はまぬがれましたが爆風を受けて自家用機は洋上に不時着。しかしすぐ海軍が出動しまして皆さん無事に回収しました。」

ミハイル「ホーッ」

チコ「お連れしていいでしょうか?」

ミハイル「当然だ。」

チコ「わかりました。ゼニカン様」

ゼニカン「やれやれやっと着物が乾きましたわ。」

チコ「こちらがミハイル殿下です。」

ミハイル「いやはや、先ほどは失礼しました。」

ゼニカン「手荒な歓迎にはおどろきましたが、まあ、そんなことはどうでもよろしさっそく拝見しましょか」

ミハイル「さすが関西の商人(あきんど)は話が早い、では」

ミハイルはポケットの中からダイヤを取りだした。

ムーン1「おお、ポケットに無造作に」

ムーン2「ハリー=ウィンストン(※)のホープダイヤみたいだ」

※:ハリー=ウィンストンはダイヤモンドキングと呼ばれたアメリカの宝石商。世界最大のブルーダイヤ「ホープ」をタッチストーン代わりにポケットに入れて持ち歩いたそうです。

ゼニカン「……なんでおます?」

ミハイル「なにってお望みの品です」

ゼニカン「まっとくんなはれ。なんやら話に行き違いがあるようやが、わたしは兵庫の明石生まれでしてな、明石ゆうたら鯛が有名で中でも黒鯛が有名や。子供んころから大好物で近ごろは金に糸目をつけんと世界中のうまい鯛を食べ歩いとりますのや。」

ミハイル「ちょっ、とまってください。どうも分からないなあ。あなたが探してるのは世界一の見事な黒ダイヤじゃないんですか?」

ゼニカン「せやからわたしが探しとるのんは世界一見事な黒鯛(くろだい)や」

「「「アッ……!!」」」

ゼニカン「そんな石には興味おまへん。ほなさいなら」

ミハイル「…………」

ムーン1「「黒ダイヤ」と「黒鯛や」殿下このお話ちょっと笑えますね。あっ、ものがブラックダイヤだけにこれがほんとのブラックユーモア」

ミハイル「やかましぃぃぃ!」

チコ「あーあ」

ムーン2「時と場合を考えないから」
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