ｰ世田谷区:一戸建て住宅ｰ

おマリが新しい仕事先に来ています。

奥様「やってもらうことは掃除に食事の支度に娘の塾の送り迎え」

マリア「はいはい」

軽くメモを取りつつ仕事の内容を打ち合わせしている。

奥様「ハーッ」

マリア「お疲れのようですね。」

奥様「疲れてるわけじゃ……」

そのとき、ピンポーンッと電子音のチャイムが鳴った。奥様は慌てて玄関へと駆けて行った。

マリア「?」

奥様「ひな子ちゃん!お帰りなさい!大丈夫?学校はへいきった!?」

ひな子「大丈夫」

そういっている「ひな子」と呼ばれた利発そうな娘さんも母親同様にどこか疲れたような元気がない顔色だった。

奥様「塾へ行く時間まで部屋で休んでなさい。ねっ、そうしなさい」

ひな子「うん」

マリア「お嬢様におやつでもおつくりしましょうか」

奥様「いいのよ。休ませるのが一番よなんたって……学校でいじめられてるんだから」

マリア「ええっ!?それは問題ではありませんか!すぐに先生に相談されたほうが!」

奥様「先生にいじめられているのよ」

マリア「なんですと?!」

奥様「話すとちょっと長いんだけど」

どこからか一冊のアルバムを手にして戻ってきた奥様はそれを開いた。

学生のときの写真らしく制服姿の若い奥様が移っているのだが……

マリア「これは…」

カラフルな頭や気の強そうな女子友達らしき人たちの中央に立ってポーズを決めている。

奥様「高校時代の仲良しのグループ。休み時間に体育館の裏で煙草をふかすようなヤンチャな集まりだった」

マリア「はぁ」

奥様「で、これが鈴木さん」

指が示した写真にははっきり言えば地味で気弱そうな三つ編みの女の子。

マリア「ふむ」

奥様「すずピーって呼んでたけど地味な子でね。よくみんなでからかっものよ」

マリア「からかうって」

奥様「すずピーの椅子の上に下水をぶちまけたり、お弁当の袋に犬のウンチをいれたりね」

マリア「キッチリいじめとるじゃないですか」

奥様「そんなつもりはなかったわ困った顔を見て楽しんでただけよ。罪のない冗談よ」

マリア「やられたほうはそうは思ってなかったでしょう」

奥様「そうみたいね。ひな子の担任が産休で半年お休みすることになってかわりに新しい先生が来たんだけど」

マリア「だけど?」

奥様「それがすずピーだったのよっ!!」