ー日常ー街の住人達【5】

ー常春の国:エメラダー

ミハイル「……わかった。」

ムーン1「おお、では!」

ミハイル「ダイエットする」

「「「ばんざーい!」」」

ミハイル「うっ」

チコ「殿下?」

ミハイル(?)「『何をぬかす!ダイエットなどとんでもないことじゃ!!』」

突如ミハイルは白目をむいて、そう叫んだ。

チコ「っ!?」

しかし、すぐに我を取り戻したらしく

ミハイル「ハッ、なんだかおかしい気が変わらないうちにぼくを部屋に閉じ込めて部屋に鍵をかけるんだ!」

ムーン1「はいっ!」

こうなったときのミハイルの行動は大胆かつ高速です。本当に一室に閉じこもって部屋の外から板を打ち付けさせて閉じこもりました。

チコ「一瞬ぬっぺふほふが表面に現れましたね。」

ムーン2「うむ。」

チコ「でも、計略は成功です。あとは……」

ムーン3「あとは?」

チコ「守銭奴としての殿下の根性とぬっぺふほふの妖力の戦いです。」

ムーン2「うわー…」

それからは、すさまじい戦いだった。

ミハイル(ぬ)「『こらーっ!!出さんかー!飯を食わさんとはどういうことじゃー!』」

ミハイル「ハッ、いいんだ!食べなくて正解なんだ!」

ミハイル(ぬ)「『よくない!飯を食わせろ!』」

ミハイル「だめだ、これ以上太ったら、また洋服屋に儲けられてしまう!」

ミハイル(ぬ)「『出せー!』」
ミハイル「出すなー!」

ミハイル(ぬ)「『開けろー!』」
ミハイル「開けなくていいー!」

内側から扉を壊さんばかりに暴れまくるミハイルとぬっぺっふほふ。

その叫び声と暴走が静かになったのは真夜中だった。どうなったのかと中を見てみると、床に突っ伏してミハイルは眠っていた。

チコ「静かになったと思ったら眠ってますね。」

ムーン1「お互いに死力を尽くして疲れ果てたんだろう。服を脱がせてみろ。」

ムーン2「ああやっぱり、あばれまくったから体中が股ずれになってる」

ムーン1「ベビーパウダーをたっぷりつけろ」

体中に粉を打ち付け終わるとすぐに部屋から退散する。

チコ「我々が今、殿下にして差し上げられることはこれくらいしかありません。」

その日から戦いは続いた。ダイエットとは名ばかりの水しか与えられない絶食状態が三週間も続いたのでさすがにもう相当痩せているだろうとドアを開けると……。

チコ「あれっ、殿下が居ません!」

ムーン1「あっ!上!」

全員がうえを見ると痩せるどころかフーセンみたいにますます太って浮かんでいるミハイルがい。

チコ「ますます不気味になってるー!!」

ムーン1「とにかく引っ張り降ろせ!」

ムーン2「カギ縄ならあるぞ。」

ムーン1「それを使え!」

ためらいなく鋭利な鉤がついた縄をミハイル向かって放り投げるとぶすっと突きった。瞬間パァーーンッと破裂して肉の塊が2つ落ちてくる。

ひとつは、ミハイル。そしてもう一つは……

チコ「キャーー!」

ぬっぺっふほふ『わーー!ひえーん、こんな気味の悪い人間は初めてじゃー!!』

と逃げていったきりぬっぺっふほふは二度と戻ってこなかった。

よく調べたら、そそっかしいムーンがベビーパウダーとベーキングパウダー(ふくらし粉)をまちがえており。

夜中に身体にはたかれた、そのふくらし粉を空腹のミハイルが無意識に舐めとった結果。

ミハイル「体中にガスが溜まって膨らんだのがぬっぺっふほふにしてみれば自分の妖力でもないのにむくんでいくわ、おまけにガスは爆発するわでビックリして逃げたたのも当然だな。三週間の絶食のおかげでスリムな体にもどったし安心して」

チコ「はあ」

ミハイル「食事ができる」

「「「やっぱり食べるんですかーーー!」」」
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