ー日常ー街の住人達【5】

ー常春の国:エメラダー

次の日の朝、用意した朝食はおにぎりひとつとお漬物、根菜たっぷりのお味噌汁。傍から見れば普通に立派な朝食だ。

朝食をとりに来た肉団……もとい肉ま……でもなくてミハイルはそれを凝視していった。

ミハイル「おや、なんだろうこれは」

チコ「食事です」

ミハイル「ああ、突き出し」

チコ「食事全部です。これから三食この量で我慢していただきます。」

ミハイル「つまり?」

チコ「ダイエットです」

ミハイル「ハッハッ、そういう場違いなジョークは……」

チコ「本気です」

ミハイル「マジ?」

チコ「はい」

ミハイル「バカ者!成長期の美少年が、こんなハムスターの餌程度の食事で、いたたっ!」

飛びあがって暴れよとしたが肉ずれが起きたのだろう。ミハイルは動くのをやめて身体をさすりだす。

チコ「ベビーパウダーお願いします」

ムーンが持ってきたベビーパウダーを腋や股などにパフり終えると……。

ミハイル「貴様ら全員死刑だ!」

ムーン1「やっぱりブチ切れだ……」

チコ「その前にこれをご覧ください。」

ミハイル「なんだ!」

チコはテーブルに置かれている布のかかったバスケットから布を解いた。

そこにはキラキラと輝く文字通り小銭の山が現れる。

チコ「殿下の好きな小銭です。」

ミハイル「おおっ!」

怒りも飛んだらしく目が$マークになっている。

ここですかさずチコは言う。

チコ「制服を一着新調する代金を小銭に返るとこれだけになるのです。」

小銭を掴んで流し落とす。ジャラジャラと音が鳴った。普通の人間ならただ小銭が擦れる音だが、ミハイルにとっては心からそう心の心の奥底から魂を揺さぶる魅惑の音なのだ。

ミハイル「そっ、そんなにかかるのか!」

チコ「おわかりですか、殿下がこのまま食べ続けて太り続けると、毎週制服を作り続けることになりという事は毎週これだけの小銭が国家財政から支出されることになります。つまり殿下が損をするのです!」

ミハイル「ぐっ」

チコ「それだけではありません!殿下が損をするという事はとりもなおさず洋服屋に儲けられるという事なのです!」

ミハイル「なっっっっぁ!」

守銭奴オブ守銭奴のミハイルにとって損をするのは耐えがたい苦痛。しかしそれ以上にひとに儲けられるのは守銭道の信奉者の彼にとっては死ぬよりもつらいことなのだ!!
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