ー日常ー街の住人達【5】

ー広尾(?):陰気な家ー

赤ん坊のなき声がする方へと向かっていくと……。

赤ん坊「ホンギャホンギャ」

『おお、よしよし』

誰かが泣いている赤ん坊に布にしみこませた水を吸わさせている。

マリア「赤ちゃんですね」

『わーっ!』

『『『なんだお前は!!』』』

こちらを向いて怒鳴ってきた家主たちと思われる三人は白塗りの女、猿顔の男、鉄漿の爺さん……。

マリア「きゃーーー!あぁーーっと、申し遅れました家政婦です。」

驚いて叫んでしまったがとりあえず挨拶するマリア。

白塗りの女『えっ、あっ、ああ……かせーふというとお女中さん』

正直、変な顔の雇い主たちだとマリアは思った。

マリア「さらしはオムツと砂糖水を赤ちゃんの口に含ませるためですか、でも不便でしょう。ミルクじゃいけないんですか?」

猿顔の男『みるく?とは?』

マリア「人工のお乳ですよ。ほ乳瓶という便利な道具もありますし。使い捨ての紙オムツというのもあります。買ってきましょうか?」

猿顔の男とお歯黒の爺さんは顔を見合わせていった。

お歯黒の爺『ほんと?そんな便利なものがあるの。じゃあ買ってきて』

マリア「オゼゼをください」

お歯黒の爺『はい』

懐から例の二分金を一枚差し出してくる。

マリア「あっ、おしいなぁ。今はミルクもほ乳瓶も高いからそれじゃあ足りないかもですわぁ!」

『『『ひそひそ』』』

三人はひそひそと何かを相談し始める。マリアはどう出るかと少し冷や汗をかきながら待った。

白塗りの女『これでどうかしら』

差し出してきたのは金色に輝く小判。

マリア「わ……かりませんが足りるかもしれません!いってきます!」

白塗りの女『急いでね』


~~

マリア「専門店でたしか小判一枚20~30万円で売っていたはず!だとすると!」

超スピード?!でマリアは専門店へと駆けこんで小判を鑑定してもらった。

店主「5万円なら引き取りましょう」

マリア「売った!」

小判一枚が5万円!ということは百枚巻き上げれば五百万円!運が向いてきたーーとマリアは叫んだ。

くどいようですがおマリはお金が欲しいのです。

お金のためなら道徳観とか倫理的を気にするような玉ではありません。

そのために頼まれたほ乳瓶やらミルクやらと一緒にちょっとした小道具を買ってすぐに黄金の……もとい陰気なあの家へと走って向かった。
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