ー日常ー街の住人達【5】

ーミハイル山:頂上ー

チコ「ボソボソ(殿下。穴を掘りおわったそうです。)」

ミハイル「ひそひそ(よし、水を流しこめ)」

命令通り掘った穴に水を流し込む、泥と混ざって砂と砂利が混ざって底で泥沼が出来上がる。

服の神『はぁ~……。』

服の神はついに船をこき始める。その隙をミハイルは逃さなかった。

ミハイル「おあつらえだ!」

服の神『なっ!?』

服の神をひっつかんで穴の中に投げ込んだ。急速にしみこむ泥水!服の神はあっというまに活動停止状態なった。

ミハイル「埋めるんだ!」

「「「ハッ!!」」」

ミハイルの号令と同時にムーンたちはいっせいに穴へ向かって土から砂利から何からをかけ落として埋めてしまう。

ミハイル「これで完全に封じたぞ!引き上げだ!」

大笑いしながらミハイルたちは山を駆け下りた。

確かにこのままだったら意識を失ったり、朽ち果ててしまったかもしれませんが、そこへ頂上近くに住む野ブタが現れ、人間は何を埋めたのかと服の神を掘り出したとたん、突然の大雨。

服の神『こりゃーー!』

ミハイル「わーーー!」

ムーン1「もう帰ってきたー!」

服の神『豚が掘り出しーの雨できれいになりーの風に乗って飛んでるまに乾きーのじゃ!よくも神様をコケにしおったな!服の縫い目のみならずポケットの裏側の恐怖まで思い知らせてくれる!!』

「「「キャーこわいー!」」」

『待て!』

突然、服ノ神に靴が飛んでいき張り付いたかと思うとなすりつくようにズリズリと前後する。咄嗟のことに慌てて服の神はその靴を叩き落とした。

服の神『貴様、新参者の靴の神!』

ムーン1「靴の神様まで現れたー!」

チコ「靴の神様が新参者!?」

ミハイル「原始人は動物の毛皮をまとって服にしていた、しかし靴の原型をはくようになったのは、ずいぶんとあとからだから神様としては若い部類なのだろう。」

服の神『そうじゃ、おまけにこやつら上はきれいにしているが底はいつも汚れている、若造なうえにうわべだけを飾る鼻持ちならん奴じゃなのじゃ!』

ミハイル「それって靴の性質上やむをえないのでは」

靴の神『やかましい!』

そう叫んだ靴がボンッと巨大化した。人間の大人よりも大きいサイズだ。踏まれたらひとたまりもないだろう。

ミハイル「巨人サイズだな」

チコ「のんきにそんなことを言ってる場合ですか!!」
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