ー日常ー街の住人達【5】

ー常春の国:エメラダー

チコ「でも、うまくいきますか?インクか何かをもって近づいても、神様だから気づかれそうな気がしますけど。」

ミハイル「なんとか油断させてその間に!しかし服をどうやって油断させる!」

そのとき、ミハイルの頭がグリグリと捩じりだした。

チコ「なに?!」

ムーン1「おお頭をしぼってる!」

ムーン3「初めて見た!」

チコ「えー……」

ミハイル「そうだエクストリームアイロニングを使おう!」

ムーン1「ええっ、エクストリームアイロニング!」

チコ「ってなんです?」

ムーン1「さぁ」

ミハイル「知らないのも無理はない!僕もこのあいだ初めて雑誌で読んだばかりだ。早い話がアウトドアでアイロンがけを楽しむスポーツなのだ!」

チコ「はあ?」

ミハイル「アイロンがけをしていると無心になり精神が落ち着いて癒し効果が得られる!それなら空気のきれいな屋外でアイロンがけをしたらもっと癒されるんじゃないかという発想で生まれたまったく新しいスポーツでキャンプ場はもとより高い山の上、川下りやサーフィンをしながらあるいは滝に打たれたり、海の中などで皆さんアイロンがけを楽しんでいるのだ!」

チコ「殿下、殿下って、つくってませんか?」

ミハイル「本当にあるんだ!1997年にイングランドで誕生して以来、年々競技人口がふえ、2002年には世界大会が開催されたらしい!」

チコ「本当だとすると世間には物好きが多いですね。」

ミハイル「ひとの趣味の事をとやかく言うんじゃない!とにかくこれを使っておびき出そう!」


ミハイル山の頂上でアイロンがけを楽しみませんかというミハイルの言葉に服の神はホイホイのっかりました。

服の神『外でのエステは初めてじゃ、楽しみじゃのう』

ミハイル「はいはいもうすぐ頂上です」

ムーン1「しかし、アイロン道具をもって登山とは……」

ミハイル「いいからアイロン台をセットしろ」

チコ「ところで電源はどうするんです?」

ミハイル「安心しろ。海の中など電源が確保できない場所ではアイロンの重さだけでしわを伸ばすそうだが、僕は燃料電池アイロンを持ってきた」

チコ「(どう重くたって海の中でピシッとするはずないと思うけど)」

そんなことを言っているあいだにムーンのひとりが服の神にアイロンをかける。

服の神『うおうっこりゃあええっ、外でするエステは最高じゃ極楽極楽』

ムーン「僕も外でのアイロンがけがこんなにも気持ちいいものとは知らなかった病みつきになりそうだ。」

ムーン1「おい、物好きが増えたぞ」

ムーン2「黙って穴を掘れ」
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