ー日常ー街の住人達

ー池袋西口公園ー

久良三「あっちぃねぇ」

独「そーすね……」

久良三「今からこれだけ暑いと六月七月は怖いなぁ。私ってさぁ日に焼けるとすっごくヒリヒリするんだよなぁ」

独「そんな人が露店でアイスクリーム売りっすか……っていうか、なんで俺が店員やらされてるんですか」

久良三「会社経営」

独「はい?」

久良三「会社経営してるとして一番金がかかるものって何だかわかるか?」

独「全然」

久良三「言い切るなよ。そして少しは考えろよバカ」

独「……」

久良三「答えは人件費だ。バイトなんか雇ってもそうだ。あれは決して安いもんじゃない。」

独「はぁ……それは分かりましたけど。今の俺となんの関係が?」

久良三「バカ。人件費ただの若い労働力って話しだろ」

独「……もしかして俺の事っすか?」

久良三「決まってんだろ。」

独「…………ってことはただ働き?」

久良三「いっっも色々と面倒見てやってるんだ。たまには恩を返せ」

独「そんなぁ……ゴールデンウィークなのに」

久良三「どうせヒマしてたんだろ」

独「そりゃまあ……」

久良三「勉強でもしてるんだったら俺もこんなことさせなかったけどヒマしてるなら良いだろ」

独「あ、勉強します」

久良三「嘘つきは歯を一本だぞ」

独「アイスクリームいかがですかー!美味しいですよー!」

久良三「そうそう汗流して頑張れ。」

神姫「二つ貰える?」

独「はいどーも……って、わっ!!」

神姫「わっ……なによ。それがお客に対する態度?」

久良三「これは……姐(あね)さんに道玄のおやっさん」

神姫「姐さんはやめて」

久良三「では、お嬢」

神姫「……もういいわ。好きに呼んで。それよりアイス二つよ」

独「は、はい。少々おまください」

道玄「久しいな。それにしてもおまえこんなこともしてるのか」

久良三「えぇ、まぁ小銭稼ぎ程度ですけどね。ほら、大きな事するにも小さなことからでしょう」

道玄「ははっ、大きなギャンブルの間違いだろ」

久良三「それでも私は手堅くコツコツいくタイプですけどね。それよりお二人は親子でデートですかい?」

道玄「神が母の日の贈り物を見に行くというんでな」

久良三「あぁ、そういえばもうすぐでしたねぇ」

道玄「儂よりマメだから助かっている。」

久良三「さすがお嬢は立派だ」

神姫「褒めても何も出ないわよ。いくら?」

久良三「いやいや、お嬢から金なんて頂けませんよ」

神姫「私はそういうの嫌いなの。きっかり払うわよ」

道玄「ということだ、これでそこの坊主と終わったら飯でも食うといい」

【10000円】
久良三「いやー、これは受け取れませんて……」

道玄「気にするな」

神姫「そういうのも、どうかと思うけどお父さんのポケットマネーだし好きにして」

久良三「じゃあ、すいやせん。ありがとうございます。ほら、お前もいわねーか」

独「あ、あざっす!!」

道玄「じゃあ、しっかり頑張んな」

神姫「じゃ、さよなら」
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