ー日常ー街の住人達【5】

ー常春の国:エメラダー

服の神『その場しのぎの嘘偽りではあるまいな』

ミハイル「めっそうもない、服の神さまの実力を拝見するにつけ、なぜこのような偉大な神様が世界でもっと信仰されておらぬのか、不思議でございます。もしできましたなら」

服の神『なんじゃ』

ミハイル「われらに電動をお申し付けください。きっと世界中に服の神さまを広め、各地に神殿を建立いたします。」

服の神『ハッハ、しかしなんじゃな』

ミハイル「ハハッ」

服の神『よく話し合ってみると君は意外と素直で好感のもてる少年だな』

ミハイ「よく言われるでございます」

服の神『いや神様などとそんなだいそれたことは考えなくて良いのじゃ。わしはそんな事は望まん。何しろ実力はあるが偉ぶったところのない謙虚すぎるほど謙虚な神様じゃからな。』

ムーン1「(ああ、えらそう)」

『ブッブッ』
ミハイル「ん?なにかいったか?」

ムーン「いえ」

ミハイル「?」

足元から話し声が聞こえた気がしたのだがと首をかしげるミハイルでしたが、服の神がようやく衣服の着用を許可してくれたので、そんなことはすぐに忘れてしまった。

ムーン1「やれやれやっと着せてもらえた」

ミハイル「服の神の言い分を認めるのはシャクだが確かに文明人は服を着てないと頼りないしサマにならないな。」

服の神『こりゃ下僕、入浴するから準備しろ。』

ムーン1「入浴?」

服の神に連れていかれた先は洗濯場。

ミハイル「ああ、服の入浴といえば洗濯か」

高級洗剤と柔軟剤をつかって服一枚だけを念入りコースで洗濯する。

服の神『次は日光浴じゃ』

ムーン1「日干しってことですね。」

常春の国ならではというか小一時間もほしておけばすっかり乾いている。

服の神『よし乾いた。次はエステじゃ』

ミハイル「エステというと……」

ムーン2「アイロンがけじゃないですか?」

ミハイル「ああ、なるほど。おい、アイロンをご用意しろ。」

最新型のアイロンでしわを伸ばしていく。

服の神『ああしわが伸びてええ気持ちじゃ。わしはきれい好きじゃからなこれから一時間ごとに入浴日光浴エステを繰り返す。』

ムーン1「えっ、といいますと一日何回?」

服の神『一日は24時間じゃから24回に決まっとろーが』

ムーン1「ええっ、真夜中まで?!」

ムーン2「真夜中に日光浴は無理ですよ!」

服の神『そういう時は乾燥機を使うんじゃ。』
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