ー日常ー街の住人達【5】

ー常春の国:エメラダー

服の神『不服じゃー!』

ミハイル「そんなこといわれても!」

服の神『前回ほかの「ふくの神」たちには活躍させたのになぜわしには出番がなかったんじゃ!』

ミハイル「うっかりわすれてたんですよー!」

チコ「ところで、なんで殿下の服に乗り移ってるんです?」

服の神『これが一番高そうじゃから』

ムーン1「でしょうとも殿下の服は全部、超一流デザイナーのオーダーメイドですから」

服の神『どうりで最高級素材を使っておるわい……って、そんなことはどうでもいい!なんなりと活躍するまではわしは帰らん!帰るまでお前たちはわしのしもべじゃ!』

ムーン1「えらそうだなぁ、殿下の服だからああなのか、それとももともと偉そうなのか」

ムーン2「どっちにしてもたかが服の神さまがどれほどえらいというんだ」

服の神『たかが?』

突如、ムーン2の胴体、正確には服の胴の部分がしめ上がっていく。

ムーン2「うぐっ?!」

ムーン1「ああっ!?」

服の神『ほいっ!』

今度は皆の服が風船のようにダボッと膨らんで上下にずれて飛んでいく。

「「「「きゃああーーーっ!」」」」

野郎の全裸祭り開催。

チコ「きゃー!」

無事なチコは巻き込まれてはたまらないのと野郎の全裸空間にいたくないのとで部屋から飛び出していく。

服の神『きさまら人間が服のおかげでどれほど恩恵をこうむっているか考えたことがあるか!夏は灼熱の太陽光を遮り冬は凍死の恐怖から守られておるのじゃ!すべて服のおかげだというのに感謝の気持ちが微塵もない!服のありがたさが身に染みるまで全員素っ裸でくらさせてやる!』

「「ひえっーー!」」

ムーン1「(殿下マズいですよ!今週はアメリカのバイヤーとの商談もありますし、会談が予定されているフランスの特使は女性です!そんなところにフルチンで出ていったら)」

ミハイル「(悲鳴をあげられるか張り倒されるかどっちにしても話し合いどころじゃないな。下手に出るのは腹が立つがやむをえない、長いものには巻かれろだ)」

「「「わたしらが悪うございました」」」

その場にいた全員で服の神に土下座をする。

服の神『むっ!』

ミハイル「おっしゃいます通りわたしら人間は服様のおかげで随分と助かっております。」

ムーン1「(服さまって…)」

ミハイル「これからは心を入れ替え、日々服さまへの感謝の念を持って生きてまいります。どうぞお許しくだされたく候あらあらかしこ」

服の神『本気じゃろうな』

ミハイル「はっ」
25/100ページ
スキ