ー日常ー街の住人達【5】

ー都心:ゴミ捨て場ー

高飛車婦人「さあ、今日も張り切ってゴミのチェックをするざます。ゆうべエッチし証拠でも出てくると面白いんざますけど」

などと下世話の頂点みいなことを言いながらゴミを漁る高飛車婦人だったが、袋を開いた瞬間にぼとりと切断された人間の右腕が落ちた。さらに、ゴロンッと人間の頭部まで転げ落ちてくる。

さすがにあり得ないものを目にして悲鳴をあげてその場から四つん這いで逃げだた。

マリア「ふふっ。」

陰から見ていたマリアはサッと辺りにころがっものを回収する。

高飛車婦人「ぎゃうぇあぁぁ!」

井矢見婦人「まあゾーキンを引き裂くようなきたない悲鳴。」

高飛車婦人「あわわわっ!」

小判鮫婦人「奥様どうなさいまして!」

高飛車婦人「バッバラバラ死体よ!」

マリア「はぁ?これが?」

マリアはマネキン人形の腕と頭を手に取ってご婦人たちに見せた。

井矢見婦人「人形じゃないですか」

高飛車婦人「そっ、そんなはずは!」

マリア「私は通りすがりのただの家政婦ですが。えっ、これが死体に見えた?もしかして風水か何かやってませんか!」

高飛車婦人「え、えぇ…」

マリア「やってる!?それは大変だ、そういう事に興味を持つ人はもともと霊感が強いんです!とくに詮索好きで他人のあら捜しが好きな人はその精神構造上ドンドン霊感が強まる傾向があります!つまりこのままだとシックスセンスが身につき他の人に見えないものが見えるようになって最終的に異次元に取り込まれてしまうのです!」


~~


ー古若寮:高飛車宅ー

高飛車婦人「ああ…おかしなことを言われたから夕食はご飯六杯しか食べられなかったざます。ああた、先に寝るざますよ。」

高飛車部長「はいはい」

寝室の襖を開けると自分が寝る布団がなぜかモッコリと膨らんでいる。掛け布団をどけてみると、背中に刺青の入った男の死体が転がっている。

井矢見婦人「奥さまー回覧板を」

高飛車婦人「ぎゃうぇあぁぁ!」

小判鮫婦人「また?!」

井矢見婦人「奥さまどうなさいまして!」

高飛車婦人「し、死体が!死体が!」

布団に転がっている死体を指さして訴えるが……。

高飛車部長「えっ?なにか見えますか」

井矢見婦人「いいえ奥さまは?」

小判鮫婦人「布団しか……」

高飛車婦人「!?」

そのまま卒倒し、高飛車婦人は救急車で運ばれていった。


~~


マリア「ということで、2.3週間は入院ということになるでしょうし、これだけおどかしておけば退院してもアラさがしはしなくなるでしょう。異次元にとりこまれちゃ大変と思いこんでますからね。ハッハッハッ。お熊さん協力感謝します。」

お熊「ちょうど暴力団同士の抗争があったから死体には不自由しないわ。」

若者「ありがとうございます。でもどうやって部長や奥様達に話をあわせてもらったんですか?」

マリア「伊武ヶ崎という苗字は珍しいですからそれを利用させてもらいました。」

伊武ヶ崎財閥をご存知でしょう実は彼はそこの御曹司なのです。おじい様である財閥の当主が古若工業の会長と親友なので修行のため身分を隠して古若で働くことになったのです。いずれ財団の大立てものになる人物ですよ。協力しておいて損はないです。部長さんもたまには奥さんのいない家で羽を伸ばしたいんじゃないですか、とね。

若者「ぼくが財団のあととりだとなぜ知ってるんです?」

マリア「…はっ?」

若者「おまけに祖父と古若老の関係まで、おたくの家政婦派出協会の情報収集能力はすごいですね。」

マリア「ええと」

若者「なんにしてもお世話になりました。謝礼として五百万円振り込んでおきますから受け取ってください。」

若嫁「ありがとうございました。」

お熊「事実は小説よりも奇なりね」

マリア「う~む…。」
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