ー日常ー街の住人達【5】

ー常春の国:エメラダ宮殿ー

ゼニアマール(貧乏神)「さらに部下たちは」

ムーン1「うわぁ、なんだこの斑点は!」

ムーン2「頭が割れる!」

ムーン3「うわぁーー!」

不気味な斑点が現れムーンたちは痛みなどを訴えのたうち始めた。

ゼニアマール(貧乏神)「同じく兄弟分の疫病神がとり憑いたので、間もなく病気で死に絶える。すぐに福の神めがやって来おるじゃろう。わしはあいつが嫌いじゃからいったん退散するが兄弟分たちは福の神などへとも思わん。この国にとどまり、やがて国民を皆殺しにする。お前は絶望で身動きもできぬまま、その惨状を目の当たりにし、ついには自らの命を絶つのじゃ」

ムーン50「殿下助けてください!」

ムーン51「殿下ー!」

ミハイル「っ……(もうだめだ)」

ゼニアマール(貧乏神)「苦しめ!もっと苦しめ!ヒーッヒッヒッ!」

すべてが終わったと絶望するミハイルをあざ笑うゼニアマール(貧乏神)。だが、次の瞬間、白刃がゼニアマールの頭部と身体を両断する。

柏「……」

光臣「……」

ミハイル「柏!!」

ミハイルから不気味な気配がなくなり、頭部の切断された身体から貧乏神の本体が現れた。

貧乏神『しえっ!?いっ、いきなり強烈なエネルギーが満ち溢れた!とてもこんな奴には憑いておれん!』

福の神『あっ、こりゃ貧乏神、また悪さをしておるな!』

貧乏神『ひぇー』

絶望神『あっ、待ってくれ置いてか無いでくれ!』

柏「やっと証拠を掴んだゼニアマールは裏で麻薬(ドラッグ)と兵器をあつかう死の商人だった。死体は氷詰めにしてMI6に送ってくれ。いくぞ、光臣」

光臣「……」

ムーン1「く、苦しいー!」

ミハイル「貧乏神と絶望の神はいなくなったようだが疫病神は残っているらしい!ふくの神たち出番です!まず副の神!たとえば副社長といえば社長を副(たす)けるという意味で意味論的に助ける!どうやって助けるかというと噴くの神がムーンの体内の病原菌を噴き上げ!」

ムーン1「……」

文字どおり倒れているムーンたちの身体から病原菌が吹きあがった。

ミハイル「さらに拭くの神が全ての病状を拭いさる!」

ムーン2「……」

身体に現れていた斑点が拭われていく。

ミハイル「とどめだ吹くの神、疫病神を吹き飛ばせ!」

宮殿内に吹きすさぶる風。

疫病神『ギェーー!』

ミハイル「やった!意味論の勝利だ!」

そんな慌ただしい貧乏神騒動は終結した……はずだったのだが……。

『ムスッ』

誰も着ていないズボンとシャツが胡坐をかいて腕を組んでいる。

チコ「あれは?!」

ミハイル「服の神だ。今回自分だけ出番がなかったからふてくされて居座ってるんだ。」

チコ「ということは服の神が不服の神になったんですね。」

ミハイル「うまい座布団一枚。言ってる場合かー!どうしたらいいんだー!」

騒動はまだつづくようです。
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