ー日常ー街の住人達【5】

ー常春の国:エメラダ宮殿ー

ムーン50「見かけによらず大人物で説明したら人違いじゃしょうがないと笑って許してくださったんです。」

ムーン51「ほんとに人は外見じゃわかりませんな」

ミハイル「よかった~。百カラットのダイヤの買い手なんて早々見つかるもんじゃないからな。これにて一見落着」

チコ「してません!」

ミハイル「わーんそうだったー!貧乏神はどうなったんだー!」

「わーーー!」

ムーン1「殿下たいへんです!港や空港に貧乏神が団体で現れたそうです!」

ミハイル「なんだと!映像をだせ!」

モニターに映し出されたのは老若男のボロを着て杖を突いた集団だった。

チコ「なんですかこれ……」

ミハイル「まさか貧乏神の集団か!!」

ムーン2「殿下ちがいます。あの人たちは貧乏神じゃありません。」

ミハイル「どういうことだ!」

ムーン2「ゼニアマール様の荷物を運びながら変わった衣装だなーと思いうかがったところ、今ヨーロッパでああいうファッションが流行ってるんだそうです。なんでも韓国の有名なスターがフランス映画で主役を演じた時のスタイルだそうで」

ミハイル「なんと、それじゃあいつらスターの真似をしているだけのミーハーか」

ムーン2「はい」

ミハイル「助かった。貧乏神にあんな集団でこられたらたまったもんじゃない。まずは一安心だがこれからも気を緩めずに貧乏神水際阻止作戦を続けろ!」

「「「はいっ!」」」


~~


ムーン1「空港はどうだ?」

ムーン2「あいかわらずグレーのコスチュームでいっぱい」

ムーン1「貧乏神と識別しにくいな」

ムーン2「ゼニアマール氏は?」

ムーン1「客間でお休みだ。怪我が治るのにまだ3.4日はかかるからダイヤの取引はそれかららしい。」

ムーン2「ふうん」

ミハイル「なんというか……町を歩いても、薄汚れたような灰色の衣装であふれていて、およそ元気の出ない色をたくさん見せつけられるせいか、なんとも気がめいってくる。」

ムーン「はぁ」
ムーン「ふーっ…」

ミハイル「ムーンたちも同じと見え、このところ宮殿内に活気がないことおびただしい」

チコ「はい、はい……みなさん、またキャンセルの電話です」

ムーン1「そっちもかー」

ムーン2「こっちも99%決まりかけてた契約が駄目になったんだ。」

ミハイル「元気がないせいか商売もうまくいかないし、貧乏神がまだ現れないからいいようなもののこのうえ、厄介な奴が…………もしかして、もう来ているのか?」
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