ｰ池袋:郵便局前ｰ

ドライバーを探してウロウロしていると目の前に郵便局……切手もたしか95％で換金ができる。

一寸(ちょっと)考え。脳内で作戦が変更される。

マリア「すいませーん。百円切手の20枚シートをください」

店員「はい二千円です」

マリア「スイマセン、細かいのですが」

店員「かまいませんよ。」

ジャラジャラと小銭を差し出して、切手シートを受け取り出入口へと向かうが……。

マリア「あーーーっ!」

店員「!?」

マリア「うっかりしたなあ間違えたなあ!すみません頼まれたのは二百円切手の20枚シートでした。」

店員「どうでもいいですが大声出さないように」

マリア「そうするとこれは無駄になっちゃうんですよねぇ。引き取ってもらえませんか?」

百円切手の20枚シートを振る。

店員「本来ならお引き取りはしないんですよ。でもたった今お売りしたばかりですからねいいですよ。」

マリア「ではこれを二千円で引き取っていただけると」

店員「はい」

マリア「そこに二千円ありますね。」

マリアは小銭の山をゆびさした。

店員「はいまだしまってません」

マリア「で、これが二千円。あわせて四千円です。二百円切手の20枚シートください。」

店員「はいどうぞ」

マリア「どうもー」

何食わぬ顔で出ていこうとするマリア。

店員「……あの、ちょっとお待ちを」

マリア「なんですか?」

店員「お金が二千円しかないんですけど」

マリア「郵便局のお仕事はお忙しいんでしょうねぇ」

店員「ええまあ」

マリア「忙しいとついボーッとするものです。お金の隣にあるこのシート。これを二千円で引き取ってくださるんでしょう?」

店員「……あっ、そうだわ。シートのことを忘れてました。」

マリア「忙しいんでしょう。わかります、わかります。皆さんが日夜頑張ってくださるおかげで郵便業務が滞りなく進んでいるのです。庶民のひとりとして心から感謝しております。いやまったくのお話が…………それじゃ。」

店員「ありがとうございましたー。」

ただちに金券ショップへ行き四千円のシートを三千八百円に換金して……次の郵便局へ。

マリア「百五十円切手の20枚シートをください」

店員「はいどうぞ」

マリア「あーっ!うっかりしてました三百円切手の20枚シートでした」

店員「はあ」

同じ手口をさらに四軒の郵便局で繰り返しました。倍々ゲームで高額切手を手に入れ、六軒目終了時には六万四千円の切手シートがおマリの手元に、それを換金すると六万と八百円。