ー日常ー街の住人達【5】

ー常春の国:エメラダー

『ギャラは出るの?』

ミハイル「あなたとは死ぬまで兄弟づきあいができそうな気がしてきました。朝さんが出てくれるとなったら、世界中の大企業からオファーが来てギャラも望みのままですよ。では、さっそくスポンサーさがしを」

『ちょっと待った今すぐはマズいな。少しごたごたがあってね。』

ミハイル「はぁ(朝にどんなごたごたがあるんだろう)」

『説明しないと分からないがわたし「朝」の仕事は「夜」を退かせることだ。さもないと強情な「夜」が居座っていつまでたっても地上は明るくならない。』

ミハイル「はっ、先日そのように伺いました。大切なお仕事です。ご苦労様です。」

『「夜」をなだめすかして、時にはケンカ腰でどかせたあとを「昼間」がひきつぐわけだ。「昼間」がそのまま頑張れば世の中は明るいままでみんなハッピーなのだが残念ながらそのあと「夕方」がいる。「昼間」は「夕方」に惚れててね』

ミハイル「はあ?」

『おまけに「夕方」は「夜」とできてるんだ』

ミハイル「なんだかわけがわからなくなってきました」

『「昼間」ががんばると「夜」の出番がなくなるからお疲れでしょう今日はもうお帰りになったらとか「夕方」が「昼間」に囁くんだ。好きな相手だし、確かにちょっと色っぽいから「夕方」にそんな風にいわれると「昼間」は鼻の下を伸ばして家に帰る。すると「夕方」はすぐにその座を明け渡して愛人の「夜」に活躍させるわけさ』

ミハイル「夕方の時間が短い理由が今初めて分かりました。」

『で、次の日またわたしが出ていって夜をどかせて……とそんなことをずっと繰り返してきた。それはそれでいいんだが……最近地上があったかいだろう?』

ミハイル「地球温暖化ですか、そうですね。CO2による温室効果が大問題になってます。」

『ああ人間側の問題もあるのか。でも本当の原因は他にある「昼間」だ。』

ミハイル「えっ」

『このごろますます「夕方」に熱をあげてカッカしてる。その熱が本当の原因なのだ。』

ミハイル「なんですって!」

『地上では例えば百年後の平均気温の上昇率をどのぐらいと考えてるかな』

ミハイル「ええと、こないだテレビで見ましたが確か6度ぐらいと」

『とんでもないこのままいくと30度はあがるよ。そうなったら寝苦しくてわたしもたまったもんじゃない。CMの前に解決しなくちゃならないゴタゴタというのはそれさ』

ミハイル「解決できそうなんですか?!」
6/100ページ
スキ