ー日常ー街の住人達【5】

ー東京:浅草ー

王「ねーねー」

漆原「……」

王「ねーねー、ウルたーん。お腹すいた」

漆原「…………」

王「おーなーかーすーいーたー」

漆原「はぁ、今さっき会食が終わったばかりですよね」

王「あんなちょびっとずつ汁やら肉やら食べてもねぇー」

漆原「フルコースでしたけどね」

王「フルコースでもオフコースでもーもーっと食べたいのん。」

漆原「わかりましたよ。ちなみに食べたいものは?」

王「んーーー……駄菓子?」

漆原「せめて料理にしていただきたい」

王「じゃあん、ぶらぶらしながらお店探そうっかねん」

漆原「ぶらぶらって……浅草見学でもするつもりですか?」

王「あ、いいねーしよしよーん。」

漆原「はあぁぁっ……」

王「あっ!ウルたん!みてみて!門だよ!雷門!!」

漆原「落ち着いてください」

王「雷神と風神がいるのになーんで雷門だけなのかねん」

漆原「知りませんよ」

「風の神雷門に居候」

王「んー?」

「古川柳です。もとは「風来神門」って名前だったのがいつしか「雷門」に略されちゃったそうです。可哀想ですよね風神様、自分の家なのに居候って」

王「へー!お嬢ちゃん詳しいねぇん」

「いえいえ、お兄さんこそ日本語御上手ですね」

漆原「……」

王「ありがとっー。君ぃーお名前は?」

マリア「マリアです。どうぞこれ」
スッ
王「名刺?えーと、家政婦さんー?」

マリア「はい、家政婦です。お仕事のご依頼があればいつでもご連絡ください」

王「お仕事ってどんなことができるのん?」

漆原「王さん!」

マリア「法律に引っかからないことと出来ることなら何でもしますよ。」

王「ふーん、じゃあ、俺のほんぎょーは手伝わせられないかぁ」

漆原「王さん…」

マリア「本業?」

王「臓器売買とか」

マリア「あははっ。それはお手伝いできませんね」

王「ふふっー」

漆原「はあぁぁっ」

王「なら、浅草観光のガイドとかはできるぅ?」

マリア「それならできますよ。」

漆原「それ、家政婦の仕事か?」

マリア「我々アラファト家政婦協会は超多機能集団なのです」

漆原「……」

王「じゃあ、てきとーに浅草観光してどこかご飯のおいしーお店につれてってくれないかなんっ」

マリア「わかりました。つきましては料金の方ですが……」

王「ウルたん」

漆原「はいはい。おい、これぐらいでいいか」
スッ
マリア「ひぃ、ふぅ、みぃ……20万?!」

漆原「今財布にあるだけだ。」

マリア「いやいや、こんなにいただけませんよ!」

漆原「とっておけ、ただし金に見合う働きができなかったら……わかっているな?」

マリア「あれー?もしかして私ヤバい?」

王「もー、ウルたんこわぁーい。適当でいいよん。よろしくねー」

マリア「アッハイ」
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