ー日常ー街の住人達【4】

ー総合病院:病室ー

『整形ですって!?なぜひとこと言ってくれなかったのかしら!』

『かすみ様のお気持ちを察すれば……』

『ホッホホ、まぁ落ち着きなされ。幸い母子ともに無事じゃ。熱は出ておるが大事には至らん』

かすみ「んっ……」

柳「むっ、気がついたようじゃな。」

骨太な奥さま「かすみちゃん!あなたっ!」

マリア「奥さま!大声を出すとお体にさわります。」

骨太な奥さま「ああ、そうね」

マリア「すぅぅぅ……かーすぅぅぅみぃーーーさまぁぁぁ!申し訳ありません守秘義務を破ってしまいました!しかしそれもこれもご自身とお子様を守るためです!さらに解決策を模索しましたが今回は奇策も秘策もありませんひねりのない直球勝負です!」

骨太な奥さま「ちょ、声っ!!」

マリア「ということで、こちら」

骨太な旦那「かすみ」

かすみ「あなた!」

骨太な奥さま「やっぱりソウルからだと早いわね」

骨太な旦那「ビックリしたよ」

ビックリしているのはマリアもだった。なにせ、かすみの旦那さまはがっちりした身体に各い顔、お熊さんそっくりなのだ。というか、これぞお熊さんの正しい姿じゃないかと思ってしまう。

マリア「(いやそんな場合じゃない)かすみ様、出過ぎた真似をするようですが、ご主人様にすべてを説明させていただきました。」

骨太な旦那「整形…だって?」

かすみ「……」

骨太な旦那「言ってくれればよかったのに顔がどうでもいいとは言わないが、ぼくは君の優しさに惚れたんだ。元の顔なんか意味のないことだ。」

マリア「と、電話でいっていただいた時には心底ホッとしました。もしこれでご主人さまが怒って離婚騒ぎに出もなったら私も腹でも切らなきゃいけないところでした。」

かすみ「あなた……ごめんなさい!ごめんなさい!」

骨太な旦那「だからもういいんだってば」

マリア「えー、つきましては、かすみ様の部屋から勝手に学生時代のアルバムを拝借してきました。やはりご主人様には昔の顔を知っていただいたほうがいいと思いまして、もちろん私はまだ拝見してません。どうぞ」

アルバムを渡すと旦那さんがページをめくる。

骨太な旦那「えーと、これ……か?」

驚いた顔をする旦那。奥さまとマリアもアルバムを覗いた。

骨太な奥さま「まあ!」

マリア「えっ!」

写真に写るかすみは今よりも髪が少し短く、ちょっとそばかすがあって今よりほんの少し鼻が低くて一重なぐらい……というか

骨太な奥さま「ちょっと地味っちゃ地味だけど」

マリア「全然不細工じゃありませんね。」

骨太な奥さま「どこを整形したの?」

かすみ「目を二重にして鼻を少し高くして」

骨太な奥さま「ホホホッ、かすみちゃん、あなたねそういうのは……プチ整形というのよ!」

かすみ「お義姉様こわい」

骨太な奥さま「あたしだったらメークで元の顔を今ぐらいに出来るわ!なによほとんど変わってないじゃない!」

かすみ「でも整形してから周りの反応が全然」

マリア「それはきっとかすみ様が自信を持って振る舞うようになったからですよ。暗い子より明るい子の方が持てるのは当然です。」

骨太な奥さま「何のためにこんな大騒ぎを!!」

マリア「まあまあ、万事丸く収まったんだからいいじゃありませんか、これで生まれてくるお子様が不細工でないのが分かりましたし」

柳「ホッホホ、ちょいとよろしいかな。なにやら整形やなんやらの話をしていたようなので赤ん坊の顔がどうなりそうか予想モンタージュを作ってしんぜようか?」

マリア「そんなことできるんですか?」

柳「旦那さんと嫁さんの顔写真を撮らせてもらうぞい。」

かすみ「は、はい」

骨太な旦那「はい」

しばらくして……

柳「ふむ、遺伝学的に考えて旦那さんの血の方が濃いからまず間違いなく、この顔になるぞい。」

出来上がったモンタージュ写真はものの見事に旦那さん顔の赤ちゃん。

マリア「ほっといても整形の事はバレませんでしたね。」

骨太な奥さま「ということは?」

マリア「ほんとーに無駄な騒ぎでした」
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