ー日常ー街の住人達【4】

ー常春の国:エメラダー

シマラッキョ「殿下これはもしかしたら!」

ミハイル「シマラッキョ号、心当たりがあるか!」

シマラッキョ「ベトベトさんのしわざでは!」

「「「べとべとさんっ!?」」」

シマラッキョ「ご存知の通りミハイル山の山奥には妖怪がたくさん住み着いています!べとべとさんもその中のひとりで日本から移住してきたやつです!」

ミハイル「うーん、そういえばそんな名前を聞いたことがあるような……」

シマラッキョ「(しめた、僕が必死で考えた作り話に殿下が乗ってきた!)べとべとさんは江戸時代からいる妖怪で続飯が好物なんです!」

チコ「続飯ってなんです?」

ミハイル「続飯とは江戸時代に使われていた「糊」で、ご飯をすり潰して作ったものだ。」

シマラッキョ「ベトベトさんは人の家に忍び込んで続飯を盗み食いあまった続飯で、いたずらをするのが好きなのです!」

ミハイル「なんと!切り離した脚をノリでくっつけ椅子に座ったものがコケるのを見て喜ぶタイプか!」

シマラッキョ「そうです!しかし椅子の脚ならまだしも、家宝の壺か何かを割って、それをくっつけておくというようなこともするのです!」

ミハイル「何だと!それじゃ家宝の壺を持ち上げたとたん!パカッ……これは結構ダメージが大きい!家宝の壺は大丈夫か!」

ムーン1「宮殿に家宝の壺なんかありませんよ」

ミハイル「あっそうか。宮殿内で一番大切なものというと……」

シマラッキョ「殿下、ダイヤではないでしょうか!」

ミハイル「おおっ、シマラッキョ号いいところに気がついた!ダイヤがイタズラされてないか調査しろ!」

「「「わかりましたー!」」」

チコ「カット済みの石から大金庫に納められた逸品物まで相当量ありますよ」

ムーン1「それを全部調べなくちゃならないのか」

シマラッキョ「あーーっ!」

ムーン1「どうした、シマラッキョ号!」

シマラッキョ「もしやと思って昨日チェックした原石を調べたら……」

ムーン1「あーっ割れてる!」

シマラッキョ「べとべとさんのしわざだーー!」

『こりゃ!黙ってきいとったらあることないこと!大概にせーよ!』

シマラッキョ「こ、このこえはもしかして本物のベトベトさん!!」

『そうじゃ』

シマラッキョ「(本当にいたのか!というより実在の妖怪の話をどこかで聞いてそれを自分の創作と勘違いしたのかも!)」

『わしゃ年を取って妖怪が丸くなったから乗りは盗み食っても、もうイタズラはせんのじゃ!今度の騒ぎは全部こいつがやったことじゃ!』

シマラッキョ「ううっ」

「「シマラッキョ号!?」」

『あらかたノリも喰いつくしたしそろそろ山に帰ろうかい、こんなところにいたらまた濡れ衣を着せられるのでの』

ミハイル「シマラッキョ号どういうことだ!!」

シマラッキョ「きゃーー!!」

結局洗いざらい白状させられてしまいました

ミハイル「そういうことか、小細工せずに素直に言えばよかったのに」

シマラッキョ「えっ」

ミハイル「この石はもともと2つにクリーピング(割る)するつもりだったんだ。」

チコ「殿下、なぜです?」

ミハイル「ヨーロッパの猿上流婦人からイヤリング用のグレードと色目が完璧に同じ石を2つ注文されてたんだ。しかし完璧に同じ石というのは難しいと思ったところに、これが採れた。」

チコ「あっ、そうかもとは一つの原石だから二つに割れば完璧に同じ石が……」

ミハイル「綺麗に割れているクリーピングの手間が省けたようなものだ。」

シマラッキョ「それじゃ実害はないんですね!僕に罪はありませんね!」

ミハイル「甘ーーい!」

実害はなかったものの皆を騒がせたのと不正直の罪でダイヤモンド鉱山での3ヶ月重労働を命じられてしまいました。

シマラッキョ「うわーん!僕のバカー!」
91/100ページ
スキ