ー日常ー街の住人達【4】

ー古城:監視ルームー

ムーン2「ぼくたちで相談したんです。ホラーというからにはドラキュラくらいでないと格好がつかないと」

ミハイル「アホかお前ら町内会で子供相手のお化け屋敷をやろうというじゃない!本物の恐怖を目指しているところにドラキュラなんか出てきたら台無しだ!」

ムーン2「それこそ主観の相違ですね。本気で怯えているところにドラキュラを出すからこそ効果があると僕達は考えます。」

ムーン3「まだ予行練習なんだからにとにかくやってみましょう」

すると、その時、ズズ……ンッとわずかだが振動が走った。

ミハイル「むっ(そろそろ30分だ。ミキイル山についたか)」

しかし、次の瞬間……

チコ「うっ……」

ムーン2「ぁっ……」

ミハイル「ううんっ?」

急にその場に全員に不快感が湧きあがった。

チコ「なんか……クラッとした」

ミハイル「お前らもか?」

ムーン2「めまいがしました」

ムーン3「というより脳がひっくり返ったような変な気分だ」

ミハイル「ええい、そんなことはどうでもいい。たしかにお前たちの言う通り演習なのだからとりあえずやってみてもいい、そのかわり……」

ムーン2「そのかわり?」

ミハイル「失敗したらおまえたち全員のケツを吸うぞ!!」

ムーン2「キャーッ吸血鬼だけにー!」

チコ「アホな」


~~


ー古城:VIPルーム(仮)ー

エンドレス「このホテルはどうなっているんだー!額縁から生首が飛び出したかと思ったらベッドはウジ虫だらけ、おまけになんなんだあの大量の糸こんにゃくは……意味が分からん」

不意に背後になにかの気配を感じエンドレス号は振り返った。

ドラキュラ「ケケケー」

エンドレス「うわっ!……んん?」

ドラキュラ「ケケー」

突然背後にひとが現れたことには驚いたのだが扮装のレベルはお世辞にも一流とは言えない。

エンドレス「ば、バカにするなー!ここまではホントに怖かったけど仲間がそんな扮装してもなにが恐ろしいもんか!あはははっ!」

高笑いしている自分がうつる大鏡が目に入った。なにかがオカシイ。そうだ、自分しか映っていないのだ。

振り返ってみるが確かにドラキュラはいる。もちろん、大鏡に映るはずの位置にだ。


~~


ミハイル「鏡にうつっていない?おい、あんな仕掛けをしたのか?」

ムーン1「いいえ」

チコ「ちょっ!殿下!」

ミハイル「なんだ?」

チコ「吸血鬼に扮装したムーンさんがエンドレス号さんに……噛みつきました!!」

ミハイル「なにぃ?!」

チコ「しかも下半身が霧になって本物の吸血鬼みたいですよ!」
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