ー日常ー街の住人達【4】

ーヨーロッパ:古城ー

地上に降りたって城の中に踏み込んだ。
しかし、城といっても古城、人間の手の入ってない建物は廃屋同然のように荒れ果てていた。

ムーン1「ほんとに古色蒼然たるお城だな」

チコ「今にも何か出てきそうな……」

などといっていると突如暗闇に浮かぶ生首が……。

ムーン1「わーっ!」
チコ「きゃーー!」

役人「おどろかないでくたださい~。お城の売買交渉を担当している政府の役人です~」

ムーン1「政府の役人が何で懐中電灯をしたから煽ってるんだ!!」

役人「ほんの座興です~」

ミハイル「まったく、ビックリして玉が潰れるかと思った。」

チコ「下品なことをいわないでください!」

ミハイル「肝っ玉のなにが下品だ!」

チコ「……」

ムーン1「殿下、いいかもしれません。お化け屋敷には最高の雰囲気です。」

役人「お化け屋敷……それならぴったりです。」

ムーン1「そうですか」

役人「なにしろ、19世紀の末に流行った疫病で城中の人間が死にまして、それ以来、城主の幽霊が出るとか疫病の悪魔が住み着いてるとか……まあ、変な噂ばかり」

ムーン1「ほんまもんやおまへんか~」

ミハイル「だから、まんがなもでんがなもおまへんがなも……」

役人「相続人もなく国が管理してましたが、昨今の財政難から売却することになりまして……ところがこんな物件ですから買い手がつきません。で、思い切ってたたき売りすることに」

チコ「たたき売り?」

ミハイル「お話はわかりました。おかげで安く帰るのは有難い……が、城として安いとは言ってもやはりそれなりの値段ですから即決はできない。シュミレーションさせていただかないと」

役人「はあ」

チコ「シュミレーション?」

ミハイル「いわばホテルにするわけだからバスルームやトイレは不可欠だろう。エアコンも必要だし様々な仕掛けも施さなくちゃいけない。そういう最新設備の設置に適応する構造に、建物がなっているかどうか、さらにスタッフの動線やら無理なくお化け屋敷に仕立て上げられるかどうか確認したうえでないと大金は払えんという事だ。」

ムーン1「どうします」

ミハイル「実際に作ってみるのが一番だな」

チコ「え、でも大工事になりますよ?」

ミハイル「一部でいいんだ。それでだいたいの感じは掴める。さっそく始めよう流星号を使ってエメラダから機材と人材を連れて来い」

ムーン1「ラジャー!」
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