ー日常ー街の住人達【4】

ーヨーロッパ:古城上空ー

ビュバッ!

チコ「すごいもう着いた」

ミハイル「この流星号が搭載している反重力装置のおかげだ。重力を無効化することで光速の95%の速度で飛ぶ。地球上ならどこでもひとっとびだ。」

チコ「なんでこんな絨毯みたいな形というかまんま絨毯なんです?」

ミハイル「布だと安いからな。反重力装置に金をかけ過ぎたんだ。」

チコ「はぁ……。」

ムーン1「反重力装置を使えば宇宙空間へも飛び出せるんじゃないですか?」

ミハイル「もちろん簡単な話だ。といっても、となりの恒星まで光速でも2年かかるから銀河規模での航行はちょっと無理だが、太陽系内なら楽勝だ。」

チコ「それじゃあ、お化け屋敷をやめて宇宙観旅行てのはどうです?輪っかを見物して帰る。ツアーがあったら大金を払っても参加したいと考える物好きはたくさんいますよきっと」

ミハイル「ぼくが考えなかったと思うか?」

チコ「……いえ」

ムーン1「じゃあどうして?」

ミハイル「ダメだ。宇宙には未知数が多すぎる。太陽系のほかの惑星の事について、我々地球人はほとんど何も知ってはいないのだ。」

チコ「はぁ」

ミハイル「例えば土星だが、近くにいった途端土星人が攻撃してきたらどうする」

ムーン1「まさか土星人なんていないでしょう」

ミハイル「ほほう、おまえは土星をくまなく調べたのか」

ムーン1「いえ…」

ミハイル「じゃあ何でそんなことが言える。NASAあたりが火星や木犀に探知機を飛ばしているがそんなもので何が分かる。他の惑星が安全かどうか、また磁気嵐などが宇宙船の計器類に実際にどのような影響を与えるか本気で調べようと思ったら百年はかかるだろう。そんな安全性の確認されていない宇宙にお客を乗せて飛び出して事故でも起きたらどうする。儲けるどころか保障や損害賠償で大損こくのがオチだ。だから宇宙事業は諦めたんだ。」

チコ「なんか今回殿下のいう事はまともですね」

ムーン1「脳に虫でも湧いたんじゃないかな」

ミハイル「なにい?」

ムーン1「もちろんいい意味で」

ミハイル「なんだそうか」

チコ「……」

ミハイル「さて、それじゃあ城に降りるぞ、はっはっは」
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