ー日常ー街の住人達【4】
ー南麻生:とある商社ー
チャリラリラー
タカシ「はい、もしもし」
マリア『もしもしタカシ様、おマリです。大変です実は……』
タカシ「えっまた」
マリア『こう立て続けでは奥さまも辛抱たまりませんから今後は三木野先生に通帳などを預かっていただいてはどうかと…これから先生と警察へ相談に行きますが奥さまはお医者さんに注射を打っていただいて眠っておられるので心配はいりません。わたくしどもも夜には帰りますのでよろしく。』
ガチャ、ツーツー……
~~
ー南麻生:冬木邸ー
夕方、音をなるべく立てずにタカシは夏代が寝ている襖を開けて部屋を見渡す。
タカシ「通帳はあそこ……印鑑は母さんが肌身離さず……」
布団に手を伸ばしたその時、ガタッと押し入れから音がした。
「ぼくドザえも~ん」
下手でもないが上手くもない妙な掛け声……。
タカシ「だ、誰だ!」
マリア「わたしだーーー!」
押し入れから飛び出してくるマリア。
三木野「タカシ君!!」
布団に寝ていたのは三木野だった。
タカシ「わーーー!」
マリア「逃げた!ミッキー捕まえるんだ!」
三木野「だから!」
マリア「最初三百二十万円振り込めといわれたとき、変だと思った!額が中途半端だから!!念のために通帳を見たら残高が三百二十万円!つまりオレオレ詐欺の犯人は残高を承知していてそれに見合った額を要求したことになる!犯人はなぜ弾高を知っていたのか!通帳を見たからだ!それが可能だったのは誰なのか!でりゃ!」
ズドッ!
タカシ「うわぁぁっ!」
マリア「通いの家政婦のおヨネさんと三木野先生!それと同居しているあなたの三人だ!」
ボコッボコッ!
タカシ「痛!痛いっ!」
三木野「ちょ、取り押さえたんだから殴りつけるのはよしなさい!」
マリア「犯人から電話があったときおヨネさんは病院でうなっているから除外される!そして三木野先生も犯人ではない!なぜなら大学時代のご学友に聞きこみ調査をしたところ亡くなられた克己さまと先生が奥さまに好意を持たれていたのは周知の事実であり奥さまが克己さまを選ばれた後潔く身を引いて良き友人の立場を貫いて未だに独身を通していらっしゃる先生が!つまり今でも奥さまを愛していらっしゃるであろう先生が!奥さまを悲しませるようなまねをするはずがない!」
三木野「///」
マリア「となると答えは一つ「三引く二は一」です。タカシ様、あなたが犯人です。どうしてお母さまに対して詐欺など働こうと考えたのです。」
タカシ「……顧客から個人的に預かった金を……良かれと思って通ししたのが失敗……その返済期限が来週に迫って……」
三木野「いくらだね」
タカシ「一千万……」
三木野「それらいなら」
タカシ「サラ金から何とか七百万近くはかき集めましたが残りの三百万ほどがどうしても工面できず。母が貯金しているのは知っていましたからなんとかそれを使わせてもらえないかと」
三木野「理由を話して借りればよかったじゃないか」
マリア「いや、分かるような気がします。ずっと優等生できたからダメな自分をお母さんに知られるのが怖かった。お金は何らかの形で返せばいい。詐欺まがいのことをしても優等生の仮面をかぶっていたかった。そうじゃありませんか?」
タカシ「恥ずかしながら、その通りです」
マリア「しかし先生が通帳を預かってしまったら三百万は手に入らない。そこでコッソリ通帳を取りに来たところを我々が」
三木野「捕まえたという訳か君の撒いた餌にまんまと食いついたわけだ」
タカシ「……」
三木野「タカシ君、一千万は私が何とかしよう」
タカシ「本当ですか!」
三木野「心配はいらんよ。だが君ももう少し男らしくふるまうべきだったね」
マリア「あらら、それを言うなら先生だって」
三木野「え?」
マリア「今回の事でも奥さまがどれほど先生を頼りにしていらっしゃるかわかります。克己さまが亡くなられて10年そろそろ先生も奥さまにもう一度男らしくアプローチされてもいいんじゃありませんか?」
三木野「やっ、そ、そのっ」
マリア「それに探偵さんの報告では詐欺師たちの間に騙されやすいカモのリストが出回っているそうなのです。奥さまが狙われるのはそのせいです。先生がこのお宅で開業されればいつまでも一緒にいて守ってあげられますわよ。」
タカシ「何か言える立場ではありませんが、その方が母のためにもいいと思います」
三木野「やっ、えっと、やーはは……」
幸せの予感を残しておマリは去っていきました。
マリア「ボーナスももらったし、ね。」
チャリラリラー
タカシ「はい、もしもし」
マリア『もしもしタカシ様、おマリです。大変です実は……』
タカシ「えっまた」
マリア『こう立て続けでは奥さまも辛抱たまりませんから今後は三木野先生に通帳などを預かっていただいてはどうかと…これから先生と警察へ相談に行きますが奥さまはお医者さんに注射を打っていただいて眠っておられるので心配はいりません。わたくしどもも夜には帰りますのでよろしく。』
ガチャ、ツーツー……
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ー南麻生:冬木邸ー
夕方、音をなるべく立てずにタカシは夏代が寝ている襖を開けて部屋を見渡す。
タカシ「通帳はあそこ……印鑑は母さんが肌身離さず……」
布団に手を伸ばしたその時、ガタッと押し入れから音がした。
「ぼくドザえも~ん」
下手でもないが上手くもない妙な掛け声……。
タカシ「だ、誰だ!」
マリア「わたしだーーー!」
押し入れから飛び出してくるマリア。
三木野「タカシ君!!」
布団に寝ていたのは三木野だった。
タカシ「わーーー!」
マリア「逃げた!ミッキー捕まえるんだ!」
三木野「だから!」
マリア「最初三百二十万円振り込めといわれたとき、変だと思った!額が中途半端だから!!念のために通帳を見たら残高が三百二十万円!つまりオレオレ詐欺の犯人は残高を承知していてそれに見合った額を要求したことになる!犯人はなぜ弾高を知っていたのか!通帳を見たからだ!それが可能だったのは誰なのか!でりゃ!」
ズドッ!
タカシ「うわぁぁっ!」
マリア「通いの家政婦のおヨネさんと三木野先生!それと同居しているあなたの三人だ!」
ボコッボコッ!
タカシ「痛!痛いっ!」
三木野「ちょ、取り押さえたんだから殴りつけるのはよしなさい!」
マリア「犯人から電話があったときおヨネさんは病院でうなっているから除外される!そして三木野先生も犯人ではない!なぜなら大学時代のご学友に聞きこみ調査をしたところ亡くなられた克己さまと先生が奥さまに好意を持たれていたのは周知の事実であり奥さまが克己さまを選ばれた後潔く身を引いて良き友人の立場を貫いて未だに独身を通していらっしゃる先生が!つまり今でも奥さまを愛していらっしゃるであろう先生が!奥さまを悲しませるようなまねをするはずがない!」
三木野「///」
マリア「となると答えは一つ「三引く二は一」です。タカシ様、あなたが犯人です。どうしてお母さまに対して詐欺など働こうと考えたのです。」
タカシ「……顧客から個人的に預かった金を……良かれと思って通ししたのが失敗……その返済期限が来週に迫って……」
三木野「いくらだね」
タカシ「一千万……」
三木野「それらいなら」
タカシ「サラ金から何とか七百万近くはかき集めましたが残りの三百万ほどがどうしても工面できず。母が貯金しているのは知っていましたからなんとかそれを使わせてもらえないかと」
三木野「理由を話して借りればよかったじゃないか」
マリア「いや、分かるような気がします。ずっと優等生できたからダメな自分をお母さんに知られるのが怖かった。お金は何らかの形で返せばいい。詐欺まがいのことをしても優等生の仮面をかぶっていたかった。そうじゃありませんか?」
タカシ「恥ずかしながら、その通りです」
マリア「しかし先生が通帳を預かってしまったら三百万は手に入らない。そこでコッソリ通帳を取りに来たところを我々が」
三木野「捕まえたという訳か君の撒いた餌にまんまと食いついたわけだ」
タカシ「……」
三木野「タカシ君、一千万は私が何とかしよう」
タカシ「本当ですか!」
三木野「心配はいらんよ。だが君ももう少し男らしくふるまうべきだったね」
マリア「あらら、それを言うなら先生だって」
三木野「え?」
マリア「今回の事でも奥さまがどれほど先生を頼りにしていらっしゃるかわかります。克己さまが亡くなられて10年そろそろ先生も奥さまにもう一度男らしくアプローチされてもいいんじゃありませんか?」
三木野「やっ、そ、そのっ」
マリア「それに探偵さんの報告では詐欺師たちの間に騙されやすいカモのリストが出回っているそうなのです。奥さまが狙われるのはそのせいです。先生がこのお宅で開業されればいつまでも一緒にいて守ってあげられますわよ。」
タカシ「何か言える立場ではありませんが、その方が母のためにもいいと思います」
三木野「やっ、えっと、やーはは……」
幸せの予感を残しておマリは去っていきました。
マリア「ボーナスももらったし、ね。」