ー日常ー街の住人達【4】

ーアラファト家政婦協会ー

お熊「おマリちゃん」

マリア「はい?」

お熊「今日は空いてるわよね。単発の仕事だけどいいかしら。麻疹で入院しちゃったおヨネさんの代わりなんだけど」

マリア「ふにゃ~」

おばさん「大人になってからの麻疹ってこわいわねー。」

おばちゃん「おヨネさん子供のころに予防接種を受けてたはずなのに。」

おばさん「予防接種も一度だけじゃ危ないんですってよ」

家政夫「そうそう、なんでも先進諸国の中で二度の摂取を義務付けてないのは日本だけでアメリカ辺りじゃ日本を麻疹の輸出国と呼んでいるとか」

おばちゃん「なんか腹立つわね。」

お熊「アカデミックな会話はそれくらいにして」

「「「アカデミックっていうのこーゆーの?」」」

お熊「一人暮らしのお婆さんのところでおヨネさんは週に一度お掃除と食料の買い出しを頼まれてたの、簡単な仕事だから給料は安いけど」

マリア「いいですよー。」

お熊「なら、ヨロシクね。」


~~


というわけでやってきたのが南麻生。

マリア「雨の~北池袋~」

少しひねくれているので南麻布で北池袋の歌を歌う。

そしてやってきたお家が「冬木夏代」さん宅。
何度かインターフォンを鳴らすが反応がない。

しかたないので、玄関で直接ノックをしようと思った瞬間……。

バンッ!と扉が開きマリアに直撃する。

「たいへんだわ!たいへんだわ!」

マリア「たいへんなのはこっちじゃわい!」

「キャー!」

マリア「っと、初めましておヨネさんの代わりに来た家政婦です。夏代さまですよね?」

夏代「ああビックリした。それどころじゃないわ!タカシが息子がたいへんなの!すぐにミッキーに連絡してください!」

マリア「タカシ?王様の?それにミッキー?鼠の?」

夏代「そーでなくて!」

マリア「深呼吸!」

夏代「すーーっ」

マリア「吐いて!」

夏代「はーーっ」

マリア「はい、落ち着いたら話してください。ミッキーとは?」

夏代「税理士をやってる古い友人です」

マリア「息子さんが大変とは?」

夏代「経った今電話があったんです。暴力団の車にぶつけてしまって事務所に連れていかれて修理代を三百二十万円払わないとどんな目に合わされるかわからないというんです!これが通帳、これが印鑑です!ミッキーに頼んですぐに振り込んでもらってください!」

マリア「振り込めといったんですか?」

夏代「ええ!」

マリア「……ちょっと失礼。」
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