ー日常ー街の住人達【4】

ー池袋:グランドホテルー

ミハイル「おーい、ばあ様ー!」
コンコン!

チコ「返事がないですね」

マリア「扉のようだ」

ミハイル「扉は喋らんわい。」

マリア「聞こえてないんでしょうか」

ミハイル「その可能性もあるな。おい、鍵は?」

マリア「鍵はないです」

ミハイル「なんならある」

マリア「カードキーなら」

チコ「それ鍵だよ!」

ミハイル「他人にされるとイラッとするな、こーゆーギャグは……とりあえず開けろ」

「だれじゃ?」
バタン!
ミハイル「ぐえっ!」

チコ「あ」

マリア「どうも、お孫さんをお連れしましたよ」

チコ「普通に進行……っていうか」

ビン底眼鏡の女性「……」

チコ「助手さんですか?」

マリア「いいえ、このひとが正真正銘の殿下のおばあ様です」

チコ「いや、おばあさんて……お姉さんじゃないですか」

マリア「ご説明を」

ニーナ「説明も何もニーナ・竜胆じゃ。しかし、ミハちゃんちょっとみんうちに大きくなったなー」
なでなで
チコ「いえ、私殿下じゃないです」

ニーナ「ん?はて……ミハちゃん、女の子だったかえ?それにブッサイクな顔が随分とかわいらしくなって……。」

チコ「ですから、私は殿下じゃないです」

マリア「もうちょっとゆっくりと大きな声でいってあげてください」

チコ「でーんーかーじゃーなーいーてーすー!」

ニーナ「電化製品?」

チコ「どれだけ耳悪いんですか!」

ニーナ「誰が別嬪さんじゃと?」

チコ「ああ、殿下の血筋の人というのは理解しました。けど、お婆ちゃんていうには若すぎる気が……」

ミハイル「いつまで扉の後ろで放置してるつもりだ!」

マリア「ああ、すいません、エジプトの壁画かと」

ミハイル「おい、ばあ様!孫はこっちだ!」

ニーナ「おお、おー、そっちかあいかわらずふてぶて……ふくよかじゃなー」

ミハイル「ハッハッハ、スマートな僕がふくよかだなんて」

チコ「……」

ニーナ「今日はええ天気じゃな」

ミハイル「それはともかく、よく無事でしたね」

ニーナ「なんとかの、しかしまぁ全部燃えてしまってな一文無しで困ってるんじゃ。」

ミハイル「一文無しで困ってるのにこんなホテルに泊まらんでください」

ニーナ「そこはまぁええじゃないか。」

ミハイル「まったく……とりあえずエメラダに一緒に帰りましょう」

ニーナ「いやー、あそこは空気が合わない。どっかちいさなアパートでいいから見つけてくれんかのぅ」

ミハイル「チコ」

チコ「うちの家はダメですよ」

ミハイル「なら、悠のところに放り込むか……」

チコ「無茶苦茶ですね。」

ニーナ「金の事なら心配いらんぞい。道具さえ用意してくれたら適当に何か作って売るからの」

ミハイル「だったら僕にベニクラゲの研究ノートを売ってください。」

ニーナ「嫌じゃ」

ミハイル「このババァ…」

ニーナ「誰が綺麗なお姉さんじゃと?」

ミハイル「いっとらんわい!!」

チコ「ベニクラゲ?」

マリア「ひと言でいえば不老不死のクラゲです。ニーナさんはその研究で不老について研究してるそうです」

チコ「もしかしてあの若いのって……」

マリア「あれは自前だそうです」

チコ「それはそれで驚愕ですよ!!」
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