ー日常ー街の住人達【4】

ー常春の国:エメラダ宮殿ー

ミハイル「ふーむ……」

チコ「見取り図を持ってこいといって今度は宮殿内を歩きだしましたね。」

ムーン1「こっちには何も説明してくれないから困るんだよなぁ。」

ミハイル「そういうことか……おい」

チコ「あっ、はい。」

ミハイル「アラン君を呼んで来い。」

ムーン1「えっ、はい。」


~~


チコ「殿下、アラン君です。」

アラン「なにかご用でしょうか」

ミハイル「単刀直入にアラン君、今回の事件の首謀者は君だね。」

アラン「……」

チコ「えっ?」

アラン「はい」

ムーン1「ええっ?!」

ミハイル「宮殿の見取り図はどこで?」

アラン「学校の図書館にあったんです。」

ミハイル「なんでそんなところに……回収しろ。」

ムーン1「はぁ」

アラン「珍しいものがあるなあと思ってみてるうちに床下収納庫の横に薄い壁一枚隔てて下水道があるのに気づきました。その壁に穴を開ければ下水道を通って外に出入りできるな、と何となく思ってたんです。」

ミハイル「まず僕をおだてて夕食をご馳走させ、その流れで泊まるところまで話を持っていった。そして何人かが壁にこっそり穴を開けているとき枕投げで大騒ぎして穴を開ける音を消した。」

アラン「はい」

ミハイル「そして夜中に皆が静かに出ていったあと下水道の方から穴に紙を貼った。懐中電灯で覗いたくらいじゃ穴の存在には気づかない。」

アラン「その通りです。」

チコ「なんでそんなことを?」

アラン「マック君という同級生がいます。幼いころ両親が離婚したのですが、つい先日お母さんがヨーロッパにいることが分かったのです。顔も覚えていないお母さんに合わせてあげたいと同級生全員が思いましたが……旅費がありません。皆の家に少しずつ出してもらおうという意見も出ましたが……」

『賛成してくれる家だけじゃないだろう。出す家と出さない家があると不公平だぞ。』

チコ「確かに」

アラン「そこでぼくが、「今度宮殿見学がある。ミハイル殿下に出してもらおう。」っと、そして下水道をつかうアイデアを説明したんです。」

チコ「確かに、この国ならそれで妖怪の仕業と思われるかもしれない」

ミハイル「外へ出てからは?」

アラン「ミハイル山に隠れていました。」

ミハイル「そうだったのか。フーー」

アラン「すいませんでした。これはお返しします。」

ミハイル「いや、いいよ。マック君に渡したまえ」

アラン「えっ?」

ミハイル「面白いトリックだった。素晴らしいアイデアに対する報酬だよ」

アラン「ありがとうございます!マック君も喜びます!殿下って本当に本当にお優しいかたなのですね。」

ミハイル「おーい!アラン君にウナギを取って差し上げろー!!」

チコ「本当にのせやすいなぁ……。」
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