ー日常ー街の住人達【4】

ー池袋:宗方フルーツー

六花「あーぁ……」

鈴猫「どうかしたの?」

六花「あ、鈴猫さん。らっしゃーい!」

鈴猫「あ、うん、元気いいね。」

六花「それがやっちゃったんですよね……」

鈴猫「なにが?」

六花「ほら、温かかったから、このイチゴ傷んじゃって」

鈴猫「あ、ホントだ……」

六花「バレたら、ババァにぶん殴られる」

鈴猫「おばさんをババァっていうのはダメだと思うよ」

六花「このイチゴどうしたものか……」

鈴猫「聞いてないね」

マリア「お困りですか?」

六花「らっしゃい」

鈴猫「あ、マリアちゃん」

マリア「流離いのエリート家政婦マリアちゃんです☆」

六花「こっちは鈴猫さんだぞー!」

鈴猫「いや、私だからって……」

マリア「調子乗ってすみませんでした……」

鈴猫「謝らなくていいよ?!調子にも乗ってないよね?!」

六花「あははー」

マリア「あははー」

鈴猫「えー……なにこれ打ち合わせ済み?」

六花「いえ、全然」

マリア「ほとんど初対面です」

鈴猫「そん風には見えないんだけど」

六花「それで家政婦さん、傷んだイチゴをどうにかできるのー?」

マリア「傷んでる部分をそぎ落として凍らしてシャーベットにするとかがお勧めですね。ジャムとか」

六花「荷が重いわぁー」

マリア「えー、ちょー簡単でしょ」

六花「簡単ですかー?」

鈴猫「……」

マリア「なんかすいません」

鈴猫「いいの、うん……」

マリア「分かりました。じゃあ、それを私が買い取りましょう」

六花「マジで?」

マリア「二言はありま……せん。」

鈴猫「間があったね」

マリア「ただ、もちろん値段は割り引いてくれますよね?」

六花「そりゃまぁ、傷んでるものは売り物にならないから……ひとパックで300円!」

マリア「10円にまけてください」

六花「300円から10円まけるの?」

マリア「違います。10円にまけろといってるんです」

六花「……いやー、いくらなんでもそれはねー」

マリア「じゃあ、100円でいいです。いいじゃないですか?売り物にならないものを引き取ってもらえるんですから」

六花「むむむっ、仕方ない。わかったよ、100円でいいー!」

マリア「よし、買いました。ところで、そこの蛇口を借りていいですか?」

六花「どうぞー」

マリア「あざーっす。」
ザーッ、ひょい、パクッ

鈴猫「食べた?!」

マリア「私にとってはこのくらいの傷みは痛みに入らない!余裕なのだ!」

六花「えー……」

マリア「傷んだフルーツができたらまた売ってください、ハムハムっ」

鈴猫「私が買ってあげるから、ちゃんとしたの食べよ……」
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