ー日常ー街の住人達【4】

ー常春の国:エメラダー

さらに三日後……

ミハイル「……」
バタッ

チコ「なに床で寝てるんです」

ミハイル「四日食べてないから貧血を起こして倒れたんじゃないか!!」

チコ「知りませんがな」

ミハイル「もうだめだ我慢の限界だ!!食あたりを覚悟して食べるぞ!!」

チコ「まあ、どうせあたるのは殿下ですからご自由に」

ムーン1「お粥でもつくりますか?」

ミハイル「どうせ食べるなら旨いものが食べたい!!」

チコ「美味いもの……」

ムーン1「例えば?」

ミハイル「フグ!」

「「「「フグーー?!」」」」

チコ「なぜよりによってフグなんです!毒があるのに!」

ミハイル「毒は内臓にしかない!身の部分だけなら通常の食あたりで済む!刺身じゃまどろっこしい!からあげにして持ってこい!」


~~

シェフ「お待たせしました!」

ミハイル「うおぉぉぉ!ガッガッ!」

チコ「わー……手づかみ」

ムーン1「ほとんど飲んでるなぁ」

ミハイル「うっ……」

チコ「あっ」

ミハイル「うううううっ」

ムーン1「ワー!殿下!!」

ミハイル「うまいっ!!」


~~

チコ「と、まあこれが今朝半年ぶりにイスタンブール出張所帰ってきた皆さんに説明しておかなくてはならない最近の宮殿の出来事です」

ムーン21「ふうん、もし殿下がフグにあたって大事になったら必ず連絡が来たはずだけど」

ムーン22「こなかったということは……」

チコ「そう、当たらなかったんです。フグには」

ムーン23「えっ」

チコ「そのあとクラッカーにあたったんです。」

ムーン23「クラッカー?」

チコ「最初のクラッカーです。机の後ろに落ちてるのを殿下が見つけて横取りして食べちゃったんです。」

ムーン22「へーえ一流メーカーの製品でもあたることがあるのか」

チコ「ところがぎっちょん。よくみたらこれがとんだ偽物で「あたり升田」のクラッカーだったんです。」

ムーン21「あたりますだ?」

ムーン22「あたると宣言してるようなものだな。」

チコ「さらにもう一つ」

ムーン23「まだなにか?」

チコ「生年月日が20年前」

「「「20年前ぇ?!」」」

チコ「最初に探してたムーンさんが倉庫の奥から引っ張り出してきたらしいです。」

ムーン21「ややこしい奴もいるもんだ」

チコ「というわけで殿下は酷い食あたりで寝込んでます。」

ムーン22「どうりで静かなわけだ」

ムーン23「相も変わらず平和な宮殿だなぁ」
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