ー日常ー街の住人達【4】

ー病院:検査室ー

検査が始まり、CTスキャン、MRI、FBI……

マリア「FBI?」

医者「やっぱり腫瘍だ。手術したほうがいい。」

マリア「手術するなら日本一の名医を呼んでください!!」

医者「たまたまブラックジャックレベルの世界的に有名なドクターが学会のためにいらっしゃっていますが、良かったらお願いしてみましょうか?ただしギャラは高いですよ」

マリア「かまいません!なんたって一億あるんですから!!」

即手術!

柳「ホッホホ。問題なしじゃ。極めて良性の腫瘍じゃったわ。」

マリア「ほう」

柳「まぁ、ワシが見る限りほっといても大丈夫じゃったと思うがのう。」

マリア「ですか?」

鮫島「ほっといてもよかった?」

マリア「で、請求書」
スッ
鮫島「いっ!ぐおぉぉ……」

マリア「傷口が開きますよ」

鮫島「部屋代込みで一千万じゃと!?ぐおぉぉ……」

マリア「ひらきますって」

鮫島「ほっといてよかった手術で一千万とはどーいう事じゃ!一千万溜めるのにどれぐらいかかると!!」

若い男「おじいちゃん!」

若い娘「おじい様!」

鮫島「お前たち!?」

マリア「通帳をさがしてたら手紙類や日記をみつけたので失礼とは思いましたが読ませてもらいましたよ。それによると以前同居なさっていたご子息がお亡くなりになって一人暮らしを心配したこちらのお孫さん夫婦が一緒に生活するようになった。ところがあまりの倹約ぶりに若い二人は耐えきれずとうとう家を飛び出してしまった。」

若い娘「お風呂のお湯の交換は月に一度、御手洗いの水を流すこともままならなくて……」

鮫島「上がり湯をつかえばすむことじゃ、厠の水もまとめて流した方か……」

マリア「お師匠様、何のための倹約です。お金とは人が幸せに暮らすための手段であって目的ではないはず。お孫さん達が逃げ出すような倹約は本末転倒ではありませんか」

鮫島「……」

マリア「生きたお金を使いませんか。九千万残っています。その中から毎月30万円ずつを生活費としてお孫さんたちに渡して、もう一度同居生活を始めてはいかがです。30万あれば、電化製品もそろえられるし、立派な食事も用意できます。」

鮫島「…………」

マリア「それとも……煮干しを齧り続けますか?そうやってためたお金も最後には税金でがっぽり持っていかれます。九千万で30万ずつなら25年いけます。いかがです。税金を払うかお孫さん達と安楽な余生を送るか、二つに一つです。」

鮫島「また……いっしょに暮してくれるか?」

若い男「喜んで!」

鮫島「孫たちよー!」

若い娘「おじい様ーー!」


~~


マリア「っと、まあ、決め手は税金だったと思いますよ。税金に取られて分けの分からない使い方をされるより孫たちに使わせた方がいいと倹約家らしく考えたのでしょう」

お熊「なんていうか、アンタもう倹約道の大家だわよ」

マリア「いえいえ、ひっひっひ」
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