ー日常ー街の住人達【4】

ー鮫島邸:応接間ー

鮫島「まず日本人として米は食わなければならん。これは安い外米を求めるとして惣菜だが旬の野菜が重宝じゃ。」

マリア「ふんふん」

鮫島「旬のものはまずうまいし栄養豊富で値段も安い。キャベツが旬ならキャベツの味噌汁、キャベツ炒め煮キャベツのおひたしと豪華なものじゃ。」

マリア「たんぱく質が足りないようですが」

鮫島「これじゃ」
ドサッ

マリア「小魚……にぼしですか?」

鮫島「特売の煮干しじゃ。味噌汁の出汁をとるのはもちろん、乾煎りして醤油を絡めれば十分おかずになる。」

マリア「ほほう」

鮫島「これほどさように工夫次第でてくらでも倹約できるものなのじゃ。」

マリア「倹約、おおっ!倹約道のお師匠様とお呼びしてもよろしいですか!」

鮫島「む、弟子入りを許そう。では、倹約を心がけ買い物に行って来い。」

マリア「はいっ!」

倹約、そのワードにマリアは自身の中で新たな成長を感じていた。

そのせいなのか道中、目に入るものへの見方が変わる。捨てられている古新聞にペットボトル……。

そして、足を止めたのはリサイクルショップだった。


~~


鮫島「なにっリサイクルショップで商品を贖ったとな!?はや無駄遣いか!」

マリア「お言葉を返すようですがテレビもない、新聞もおとりにならない生活では世情におくれてしまいます。そこで二百円で買い求めたのが、ゲルマニウムラジオ。ご存知の通り鉱石ラジオは一切電気を必要としません。つまりただでニュースが聞ける音楽も聞ける。北京放送にあわせ場中国語の勉強もできるのですからお安い投資と思います。」

鮫島「ふうむ」

マリア「さらに買いましたのが壊れかけたのを針金で修理した古い七輪。50円ですがこれがあればガスを使わずに済みます。」

鮫島「燃料がいるじゃろう」

マリア「拾ってきた新聞紙を濡らしまして、硬く丸めたものを乾かしますと。かなりの熱量を発します火持ちの良い燃料になるのです。これもタダです。」

鮫島「ふうむ」

マリア「ついでのことに、拾ったペットボトルを洗って公園の水道の水を詰めてきました。これで飲み水にも不自由しません。」

鮫島「ふうむ、なんじゃのおまえには見どころがあるようじゃの。」

マリア「ありがたき幸せ。」
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