ー日常ー街の住人達【4】

ーアラファト家政婦協会ー

マリア「こんにちは、お熊さん」

お熊「あら、マリアちゃん。こんにちわ。」

熊ことお熊さん、大柄でゴリゴリのマッスラーな体格で青髭が濃いが優秀で超一流の家政「婦」である。下手にそこに触れると危険。ちなみに手術は「まだ」してない。

マリア「なんの話で盛り上がっているんです?」

おばちゃん「倹約よ」

マリア「へー、倹約ですか」

お熊「倹約というのはお金を稼ぐことに繋がるのよ」

マリア「詳しく」

お熊「つまりね、百円倹約することは百円稼ぐのと同じなの」

マリア「なるなる」

お熊「どんなにお金を稼いでも、それ以上に使ってたら貯まりっこないわ」

マリア「道理ですね。」

お熊「おばちゃんは何か倹約してる?」

おばちゃん「そりゃもう、スーパーの閉店間際に買い物するのは常識よね。だからそれでも高く買ってる場合があるのよ。だからあたしは底値表をつけてるわ」

マリア「底値表?」

おばちゃん「各スーパーを比べて一番安い値段をチェックしておくの、そうするとバーゲンとか安売りなんて言葉に騙されなくなるわ。その底値表も裏の白いチラシを使ってね。」

マリア「おお」

お熊「なかなか」

おばちゃん「例えばお米のとぎ汁なんかも捨てちゃダメそれで油汚れが落とせるから、洗剤の倹約になるわ。ご飯を炊くときも磨いだお米の上に野菜や卵を入れたざるを乗せておくとご飯が炊きあがるころにはゆで卵と湯で野菜の出来上がり。別々に作るよりずっと経済的よ」

マリア「生活の知恵ですね。お熊さんはどんな倹約をしてます?」

お熊「そうねぇ。こないだ非番の日に野暮用があって愛車で都心に出かけたんだけど」

マリア「愛車というと冷ノ2千万のフェラーリ?」

お熊「そう。駐車場に入れようと思ったんだけど都心は高いのよ」

マリア「でしょうね」

お熊「そこである都市銀行の駐車場に止めて、窓口に行って……」


~~

窓口係『いらっしゃいませ』

お熊『新しく口座を作りたいんだけど』

窓口係『ありがとうございます。何か身分を証明するものをお持ちですか』

お熊『免許証でいいかしら』

窓口係『お預かりします(まあ、国際A級ライセンス)。では、本日初回のご入金はいかほど』

お熊『噂で聞いたんだけど、講座は一円からでも作れるってホント?』

窓口係『はい、本当でございます。』

お熊『じゃあ、シャレで一円』

窓口係『通帳でございます』

お熊『おみやげはないのかしら』

窓口係『あの、ボックスティッシュなら』


~~

お熊「一円でも客は客だから堂々と駐車場を利用してゆっくり用を足して帰ったわ。ね、一円で駐車してティッシュももらっておまけに通帳はメモ代わりに使ってるのよ」

マリア「賢いというよりずる賢いですね。ヒッヒッ」
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