ー日常ー街の住人達【4】

ー常春の国:エメラダ宮殿ー

コーラス号「(生きていても仕方がない)」

ミハイル「コーラス号はやまるな!誰か止めろ!」

コーラス号「(さようなら)」
バッ

ミハイル「わーっ、まにあわない!」

BONNっ!
コーラス号「うーん」
ドサッ!

チコ「コーラス号さん?!」

コーラス号「……」
ズルルル
『ひえっひえっ!危なかった!』

ミハイル「なんだ?!」

一つ目の何か『アホかー!お前が余計なこと言うから危うく死んじゃうところじゃないか!もう少しで完全に声を盗めるのにその前に死なれたら元も子もないわい!』

ミハイル「ギックリ声だー!」

チコ「出たー!」

ミハイル「こうなったら妖怪に掛け合ってやる!やい妖怪!タダで声を盗もうなんてとんでもない奴だ!!」

ギックリ声『タダとはいっとらん』

ミハイル「はっ?」

ギックリ声『わしは美声コレクターだ。美声をコレクションするにあたっては対価を支払う用意がある。』

ミハイル「対価というと……お金を払うと?」

ギックリ声『そうだ。』

ミハイル「お金を持ってるんですか?」

ギックリ声『この国の近くの海の底には多くの海賊船が眠っておる。わしは美声を聞き分ける、この耳で、もう一度日の目を見たいと嘆いている財宝の声を聞くことができるのだ。その声を頼りに財宝のありかを教えてやる。』

ミハイル「財宝ですか」

ギックリ声『莫大な金銀財宝だ』

ミハイル「売ったーーー!コーラス号の声を売るぞ!!」

チコ「殿下!!!」

ギックリ声『契約成立』

コーラス号「……!」

ギックリ声『財宝のありかは後日便を寄越す。さらばじゃ。』
ドロン!


~数日後~


チコ「声が出なくなったコーラス号さんはあれ以来泣き暮らしています。見損ないましたよ殿下。」

ミハイル「……」

ムーン1「いくらお金が好きでも部下の声を売る様な方とは思いませんでした。」

ムーン10「このままじゃムーンは続けられない。」

ムーン11「みんなで辞表を用意しよう」

ミハイル「むーん……えらいことになった。焼肉のタレはともかくムーンたちにあんな三下り半をつきつけられるようなことを言われたら、さすがの僕もビック衝撃、大ショックだ。ひとりで冗談言ってる場合じゃない。なんとかしなくちゃな……この場合は声帯の異常とかじゃなく「声」というものを妖力や魔力的なもので失ったんだから……これを逆算すれば…………」


~さらに数日後~


コーラス号「♪~♪~。声が出る!うれしい!うれしい!」

ミハイル「もうかった金を全部使ってコーラス号にバイオ手術をほどこしたのだ。ある話で人魚姫は人間の王子さまに恋をした。陸にあがるために尾っぽの代わりに足が必要なので魔女に頼んだら代償として声を寄越せといわれた。足の代わりに声を失ったのだ。つまり尾っぽに戻せばこえも元に戻るという計算だ。」

チコ「だからっていいんですか……アレ」

コーラス号の下半身は文字通り魚になっていて、いわゆる人魚状態。

ミハイル「まぁ、本人も納得してるんだし」

コーラス号「♪~♪~♪」

チコ「です……かねぇ。」
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