ー日常ー街の住人達【4】

ーエメラダ宮殿:広間ー

ミハイル「つまり、そういう設定なんだ。だから、お前たちにはミモザちゃんは見えないというわけだ、良いな」

「「「わかりました」」」

ミハイル「それじゃあ、各々解散」


~~


ヒョーワ号「あれっ?君は?」

ミモザ「ミモザです!あたしが見えるんですか!」

ヒョーワ号「はあっ!?ミモザちゃんてどこかで聞いたような名前だけど……でも、おかしなこと言う子だな」

ミモザ「おかしなことなんか行ってません!ここはあたしが見たこともない世界なんです。」

ヒョーワ号「ええっ?」

ミモザ「例えばほら」

カラス『カァー』

ミモザ「あたしが居たところには空を飛ぶ生き物なんかいませんでした!ここは他の世界なんです!なぜかわかりませんがあたしは別世界に紛れ込んでしまったんです!」

ヒョーワ号「おーい、この子、変なこと言ってるんだけど。」

ムーン10「この子?」

ムーン11「どの子?」

ヒョーワ号「だからこの子」

ミモザ「……」

ムーン11「誰もいないじゃないか」

ムーン10「自分が暇だからって何を分けの分からないことを言ってる」

ムーン11「こっちは忙しいんだ」

ヒョーワ号「えっぇっ?」

ミモザ「さっきからあの人たちに話しかけてるんですけどあたしが見えないらしいんです。あの人たちにとってあたしは存在してないんです。幽霊みたいなものなんです。誰も助けてくれないんです。」

ヒョーワ号「僕が助ける!」

ミモザ「えっ?」

ヒョーワ号「なぜかは知らないけどぼくには君が見える!僕が君を助けるしかないじゃないか!」

ミモザ「本当に?」

ヒョーワ号「こうなったら乗り掛かった舟だ!」

ミモザ「実はお腹が空いて死にそうなんです!」

ヒョーワ号「よし!料理当番!なにかつくってやってくー!……あれ?いない」

ミモザ「飢え死にしそうだわー!」

ヒョーワ号「わー!ぼ、ぼく料理なんか作れないけど、冷凍食品をレンジでチンするくらいなら。」

ミモザ「そんなもの食べられません。あたしが食べられるのはこれです」
スッ
ヒョーワ号「ニンジン?」

ミモザ「細かく切って塩を振ってください」

ヒョーワ号「切るって……」

ミモザ「この世界にも包丁やナイフはあるでしょう?」

ヒョーワ号「無理!!」

ミモザ「飢え死にするーーー!」

ヒョーワ号「きゃーー!こ、こわいっ……包丁……」

ミモザ「うっ……」

ヒョーワ号「う、うわー!」
トンッ

ミモザ「できるじゃありませんか」

ヒョーワ号「き、切れた。で、できるのかな……」
トントンッ

ミモザ「そうです!それでいいんです!」

ヒョーワ号「切れる!包丁が使える!僕はやればできるんだ!」

ミハイル「……(ミモザちゃん上手いぞ)」

ミモザ「ああ、光が辛い、暗いところに……」

ヒョーワ号「暗いところだって!」

ミモザ「ううっ、この数字の答えが……」

ヒョーワ号「計算だってミモザちゃんと一緒なら頑張れる!」

ミモザ「もう、あたしが居なくても大丈夫」
スゥッ……

ヒョーワ号「あっ!」

ミハイル「えっ……消えた?」

チコ「殿下!やっと演技の上手い女の子を見つけました!」

女の子「よろしくおねがいします」

ミハイル「ニャニおう!?」


~~


チコ「つまり、ムーン10号と11号さんには本当に見えてなかった、と」

ムーン10号「はい」

ムーン11号「誰だったんです?」

ミハイル「調べたらヒョーワ号にはまだ小さいころ亡くなった妹さんが居たんだ。その子の名前がミモザちゃんだった」

チコ「それじゃあ」

ミハイル「うむ。ふがいないお兄さんをなんとか一人前にしたくて来てくれたに違いない。こちらと向こうの世界では進む時間が違うから小さな女の子の姿だったのだろう。」

チコ「不思議なお話ですね。」

ヒョーワ号「ありがとう。お兄ちゃん頑張るよ。」

ミモザ『ふふっ』
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