ー日常ー街の住人達【4】

ーグラン略:小百合の部屋ー

それから三日後……

ピリリリ

小百合「はい、小百合です」

マリア『マリアです。約束はちゃんと守れてましたか?』

小百合「はい…」

マリア『よろしい、では本日の7時……』

小百合「帝國ホテルのロビーで……はい、分かりました。」

マリア『必ず来てくださいね。』
プッ、ツーツー

小百合「ホテル……ということは風俗とかじゃなくてホテルで直接お客さんと……借金を全部返すのにいったい何人を相手にしたらいいんだろう。身から出た錆だけど……ううっ。」


~~


ー池袋:帝國ホテルー

マリア「あ、来ましたね。」

眼鏡の中年「……」

小百合「お父さん!?」

小百合父「小百合…」

小百合「お父さんがお客さんなの!?」

スザーッ

マリア「甚だしく勘違いしてるだろう、このアホ娘は!!お父さんが来なかったら張り倒してるところだ!!」

小百合「だって!だって!」

マリア「あなたの手帳をこっそり見て実家の住所を確認したんです。で、あなたの窮状を説明して」

小百合「なにを話したの!!」

マリア「全部洗いざらい正直にね。」

小百合「!?」

マリア「男に酷い振られ方をしたこと、その寂しさ心の空白を埋めるために食欲に走って過食症になる女性もいるがおたくのお嬢さんは買い物依存症になってしまい、そのため借金で首が回らなくなってること、このままでは何をしでかすかわからないほど自暴自棄になりかねないことなどすべてをね。」

小百合父「一千万何とか用意してきたよ。これで借金を返しなさい。」

小百合「!!!」

マリア「並大抵のことで作れる金額ではないですよ。お友達や親せきに下げなくていい頭を下げて、嫌味を言われたり、土下座しなくちゃならなかったりしたでしょうが、可愛い娘のために工面してくださったんです。恥ずかしいと思いませんか、男に振られた、寂しい、独りぼっちだと思いこんで欲求に任せて買い物を続けた貴女だが、なにが独りぼっちです!こんなありがたい親御さんがいるじゃありませんか!!」

小百合父「小百合、うちに帰っておいで」

小百合「お父さん、ワアァァァ」


~~


マリア「実家に帰って落ち着けばきっと新しい恋人もできるだろうしそうなれば依存症も笑い話になると思います。」

悠「おマリ、今回はいいひとだったな」

マリア「なにをおっしゃる。私はいつでもいいひとですわ。」

悠「でも、しっかりブランド物のバックをガメってるよな。」

マリア「日当をもらいそこねちゃ大変だと思ったのでね。ヒッヒッヒッ」

悠「どこがいい人だ、ヒッヒッヒッ」
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