ー日常ー街の住人達【4】

ーグラン略:小百合の部屋ー

マリア「なんなんですかこれはっ!!」

小百合「だから借金取りよ!!」

マリア「全部でいくら借りてるんですか!!」

小百合「一千万くらい」

マリア「一千……えーと、ご身分は?」

小百合「普通のOL」

マリア「普通のOLが一千万も何に使うっちゅーんじゃ……ハッ」

部屋にあるブランド品の数々……。

小百合「ダメなのよ!ブランド品を見ると頭がボーッとなってたまらなく欲しくなって我を忘れて買っちゃうの!買ってしばらくの間はスッキリしてるんだけどそのうちまたボーッとなって、その繰り返しで……」

マリア「ときどきいますね。そういう方、買い物依存症といいましたか。」

小百合「依存症……」

マリア「買い物を続けてないと心のバランスが取れない。一種の心の病みたいなものだとか」

小百合「最初はカードで買ってたんだけど、すぐに限度額いっぱいになって、次に銀行の個人向けローンでお金を借りてそのうちカードの返済が来て。それを返すためにサラリーマン金融で借りて銀行の分の返済のために今度は街の金融業者から」

マリア「ジャストモーメント」

小百合「え?」

マリア「失礼、ちょっと待ったです。それって今話題の法外な利息を取る闇金、闇金融業者じゃないんですか?それなら電話のえげつない催促もわかりますね。何しろ暴力団の資金源になってるそうですから。」

小百合「そんな怖い業者だとは思わなかったの。だってほら、借用書にもちゃんと東京都の許可業者だって」
スッ

マリア「四万三千円払って書類を提出すれば誰だって許可業者になれるんです。こんなものあてになりませんよ。」

小百合「ワァァァン!知らなかったのよー!」

マリア「買い物依存症に借金地獄ですか。はぁ……心の問題はさておいて借金をなんとかしましょう。」

小百合「えっ?」

マリア「電話に出るのが怖いからって電話番を雇ってもしょうがないです。根本を解決しなくては」

小百合「根本……。」

マリア「一千万かしてくれそうなお金持ちのお友達はいませんか?」

小百合「いるわけないでしょう」

マリア「ご実家のお父様は?」

小百合「今にも潰れそうな中小企業のサラリーマン」

マリア「だめだこりゃ……電話を借ります。もしもし本部ですか?弁護士の先生と話したいんですが。……ああ、先生ですか実はですね…………はい…はい、分かりましたどうも。」

小百合「……」

マリア「銀行は相談すれば返済を猶予してもらえそうです。つまり先延ばしですね。貴女に自己破産でもされたら銀行も困りますから。次に闇金ですが、これはもともと法律で決まった利息以上の暴利を貪ろうというのですから存在自体が法律違反。弁護士に相談して対応してもらえば元金と法律で決まっている利息だけ払えばいい。電話では脅しをかけますが実際に人を傷つけることはまずないそうです。数十万円のために逮捕されたら割にあいませんからね。」

小百合「なるほど」

マリア「残りはサラ金ですが、これはちゃんとした商売ですし利息も二十%と高いですから、まずこれを返済すべきだそうです。」

小百合「どうやって?」

マリア「ブランド品を売ります。嫌とは言わせんぞ!!!」

小百合「言いません!買っちゃったら興味がなくなるんだもの。」

マリア「厄介な性格だ……。」
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