ー日常ー街の住人達【4】

ー国営アパート:老人の部屋ー

チコ「殿下」

ミハイル「どうした?」

チコ「鉄アレイとロープがありました。」

老人「……」

ミハイル「さすがに処分する暇はなかったようだな。」

ムーン1「殿下、説明してください。」

ミハイル「まず、ロープを結び付け、一階の管理人室の窓の下をガンガンとやりすぐ引き上げる。すると、何の音だろうと管理人が覗くから、上から後頭部を割られ、窓枠に鎖骨を強く打ち付け、その反動で部屋の中に倒れる。」

チコ「なるほど……あとは、鉄アレイでコツンとやれば窓は閉まる……ってことですね。」

ミハイル「そうだ。これ以外に外の地面に地が飛び散っていた理由を説明できない。」

ムーン1「動機は?この老人が管理人と揉めていたなんて話は聞いていませんが」

老人「……」
チラッ

ミハイル「おい、そのノートパソコンを持ってこい」

チコ「えっ、は、はい。」

老人「あっ」

ミハイル「ふん、ロックがかかっている。」

ムーン1「解除できますか?」

ミハイル「チョロいもんだ。よし、解除……うん?なんだこれは……えっ!お前!Q国のスパイだな!」

「「「ええっ?!」」」

ミハイル「世界各国に散らばったQ国のスパイたちがコイツに情報を送ってきている!こいつはそれを整理して本国に送っていたのだ!!」

チコ「すると動機は!」

老人「管理人はZ国のスパイだったんです。」

ミハイル「なんだと!?」

老人「私の正体に気付いてどうやら妨害工作を始めようとしているような気配を察知したので始末したのです。」

ムーン1「なんたるちあ……」

チコ「どうします?」

ミハイル「警察を飛び越して公安当局に身柄を引き渡せ、処分は公安に任せよう」

ムーン1「ハッ」

老人「くっ……」


~~


チコ「なんか昨日は怒涛の一日でしたね」

ミハイル「僕の日常としてはまぁまぁ普通だ」

チコ「そりゃ殿下の普通は異常ですからね。」

ミハイル「なんかいったか?」

チコ「いえ」

ムーン1「殿下たいへんです!」

ミハイル「また殺人事件か!」

ムーン1「もっと大変です!気になって調べてみたら第一発見者のぼーっとした男もレスラーあがりという触れ込みの男も含めて店子全員がいろんな国のスパイだったんです!!」

ミハイル「なぁっ!」

チコ「どーしてそんなことに……」

ムーン1「わかりません。」

ミハイル「……いいだろう。ほうっておけ」

「「え?」」

ミハイル「代わりに家賃を百倍にするんだ。」

チコ「はあ?!」

ミハイル「どうせ金は本国が出してるんだろう。スパイ活動の拠点を失うよりは、と百倍だって喜んで払うはずだ。嬉しいな、大儲けできるぞ。ハッハッハッ!」

チコ「いいんですかそれで……」
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