ー日常ー街の住人達【4】

ー常春の国:エメラダ宮殿ー

ムーン1「殿下ーー!たいへんです!殺人事件です!」

ミハイル「なぜ殺した!!」

ムーン1「すいません出来心でーーー!わあぁぁぁっ……ちゃいまんがな」

チコ「まんがな?」

ムーン1「なにが悲しゅうて僕がひとなんか殺さにゃならんのです」

ミハイル「暇つぶしとか」

チコ「暇つぶしでそんなことするのは殿下だけです」

ミハイル「八ーハッハ、お前はあとで覚えていろ。それで?」

ムーン1「殺されたのは国営アパートの管理人です。」

ミハイル「国営アパート……とは?」

ムーン1「おぼえてないんですか……」

ミハイル「忘れようとしても思い出せない」

チコ「私ですら覚えてるのに……。」

ムーン1「ほら、去年、殿下がエメラダ銀座に作らせたじゃないですか」

ミハイル「まるで覚えてない説明しろ」

ムーン1「やっかいだなぁ」

チコ「去年、皆でエメラダ銀座を歩いていた時、空家になっているビルを見つけてここを安く買い取り国営アパートにして家賃収入で設けようと殿下がおっしゃったじゃありませんか」

ミハイル「へーえ」

チコ「へーえって」

ムーン1「で、さっそくリフォームして管理人を置き、店子が20組はいるアパートにしたわけです。そこそこ立地がいいので店子はいつもいっぱいで順調に儲かってます。僕は管理人が集めた家賃を毎月受け取りに行く集金係なのです。今日も集金に行ったところ」

ミハイル「ふむふむ」


~~

『わーっ!』

と、管理人室から悲鳴が

店子『わー!!』

ムーン1『待て、どうした!』

店子『あっ、集金係のムーンさん!大変です!家賃を届けに来たら管理人さんがっ!!』

~~

ムーン1「部屋に入ってみると頭から大量に血を流した管理人があおむけに倒れていました。ちょっと触ってみただけで後頭部の骨が砕けているのが分かりました。ころんで頭を打ったなどという生易しい状態ではありません。明らかに強い力で殴られたのです。殺人事件と直感した僕は発見者の男に捜査が済むまで口外しないようにと口止めしました。幸いほかの店子に騒ぎを気づかれた様子はなかったので部屋のドアに鍵をかけ、殿下の指示を仰ぐために急いで戻ってきたのです。」

ミハイル「良くやった。まず警察へ、と考えなかったのは、良い判断だ」

チコ「どうしてですか?」

ミハイル「なにしろ国営アパートで殺人事件があったなんてことになったら、この先店子が集まらなくなるかもしれないし、それよりなにより……」

チコ「なんです?」

ミハイル「殺人のあったアパートなんて演技が悪いから家賃を下げろと店子たちにいわれることだ。」

チコ「さいですか……」

ミハイル「とりあえず僕たちで解決しよう。最終的に警察に通報するかどうかは結論が出てから決める。2.3人連れていこう。医務室の衛生係も忘れるな。」

ムーン1「ラジャー」
34/100ページ
スキ