ー日常ー街の住人達【4】

ー池袋:摩天楼ー

詠子「……」
カチャカチャ

凍夜「……」
サッサッ

詠子「…………」
カチャカチャ

凍夜「…………」
サッサッ

詠子「社長」

凍夜「……え?あ、なに?」

詠子「いや、ただの世間話なんですけど」

凍夜「ああ、うん。話してさすがにだまーって書類処理って気がめいってくるし」

詠子「じゃあ、単直に聞きますけど……社長はお金に対してプロですよね。」

凍夜「どういうのがプロっていうのかは分からないけど、大切さと扱い方は心得てるよ」

詠子「じゃあ、100憶稼ぐとしたらどうします?」

凍夜「……100憶?」

詠子「100憶」

凍夜「桃鉄で?」

詠子「現実で、です。」

凍夜「んー……100憶を稼ぐっていうのは、100億円を用意するってことでいいの?」

詠子「ええと、じゃあ100憶の借金の返済ってことで」

凍夜「ううん……難しいね」

詠子「難しいですか」

凍夜「一番いいのは不良債権だね」

詠子「それはなしで考えてください」

凍夜「……株かな」

詠子「株ですか」

凍夜「もちろん、一発大当てなんてのは考えずに堅実にね」

詠子「どのくらいで返済できますか?」

凍夜「どうだろう。色々と運が味方したら七、八十年かな。でも、そんな運に恵まれてたら100憶なんて負債抱えないだろうから、一生かかっても返済できない確率のが高いと思うよ」

詠子「ですよね」

凍夜「ところでこの話って心理テストか何か?」

詠子「いえ、私の知り合いに借金をしょい込んてだ子がいましてね」

凍夜「そりゃ大変だ。うちで融資しようか?」

詠子「100憶をですか?」

凍夜「もちろん、話とかは聞かせてもらうけど100万円くらいなら……」

詠子「100「億」円です」

凍夜「……100万?」

詠子「100憶」

凍夜「……冗談でしょ?」

詠子「どうやらガチみたいです」

凍夜「ガチ?100憶」

詠子「ガチ100憶」

凍夜「……えーと、ネタ?」

詠子「だから、事実です。」

凍夜「なにやったらそんな借金背負うの……」

詠子「色々あったんじゃないですか?」

凍夜「そうだろうけども……今どうしてるのその子」

詠子「アラファト家政婦協会って所で働いてるらしいです。それで月に10万円ずつ返済してるとか」

凍夜「100憶で月10万だと……返済にかかる期間はおよそ一万五千年……」

詠子「さすが、計算早いですね」

凍夜「いや、まぁ…ね」
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