ー日常ー街の住人達【4】

ー都内某所ー

昭和商事三代目若社長の邸宅……

社長「う~今朝も冷えるな」

運転手「社長おはようございます」

社長「ああ……ん?」

新聞紙の塊『……』

社長「なんだ、あのゴミは目障りだな」

運転手「そうですね。私も気がついとりましたが」

新聞紙の塊『……』
ガサッ

社長「ん?動かなかったか?」

運転手「はい?」

新聞紙の塊『……』
ガサササッ

社長「なっ!?」

バサッ!
マリア「あー良く寝た」

社長「なっ、何だお前は!!」

マリア「あ?あああああ!!」

社長「なななななっ!」

マリア「アラファト家政婦派遣協会からきました」
ぺこっ

社長「……」
ズテッ

マリア「転んでどうしたんです?」

社長「い、いや、中東の協会?」

マリア「いえ、「ア」ソシエーション・オブ・「ラ」ンダムアクセス・「ファ」イティング・「ト」ルネード。あらゆる状況下において竜巻のように戦う機能集団、の略です。」

社長「持って回ったネーミングだな。しかし、家政婦がひとり産休といっていたが」

マリア「はい、そのかわりできました。おマリといいます。初日なので頑張って早起きしたらこちらについたのが午前3時で早すぎたので軒先をお借りしてちょっと休ませていただいた次第です」

社長「ふうん、仕事熱心だな大変だと思うが頑張ってくれ。」

マリア「たいへんとおっしゃいますと?」

社長「今朝は冷えるが家の中はもっと冷え冷えしている。」

マリア「エクソシストですか?」

社長「はん?」

マリア「映画のエクソシストの悪魔が現れるシーンで吐く息が白くなるんです。その効果を出すために大型冷凍倉庫の中にセットを作ったんです。」

社長「……」

マリア「お宅もそーゆーつくりになってますか?」

社長「何が悲しゅうて自宅でエクソシストやらにゃならんのだ。」

マリア「違いましたか」

社長「そうではない、恥を話すようだが実はワイフとおフクロが不仲でな」

マリア「ははあ、よくある嫁姑の問題」

社長「よくある問題でしかも解決不可能な問題だ。ここ3年ほどはお互い口も聞かない状態で家にいても気づまりでしょうがない。」

マリア「……もしもの話ですがその解決不可能な問題を解決したらボーナス頂けますか?」

社長「面白いことを言う。もしそんな奇跡みたいなことができたら君の欲しいだけボーナスを出そう。」

マリア「ありがとうございます。行ってらっしゃいませ。」
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