ー日常ー街の住人達【4】

ー東京世田谷:高級住宅街ー

マリア「針金とビーズをちょちょいのちょいと」

ばあや「まあ」

マリア「箱を包んでリボンとマーカーで……よし、完成。これを、こーゆーセリフと一緒に奥さんに渡してください。」

旦那「ふむふむ。よし、コホン……ただいま、スイートハニー」

奥さま「何がハニーよ!うかがいたいことがあるわ!!」

旦那「その前に、はいコレ。」

奥さま「なによこれ」

旦那「特に何か記念日というわけじゃないけど、素敵なリングを見かけてね。キミに似あいそうだと思ってさ」

奥さま「まあ、私のために!?」

ばあや「バレないかね」

マリア「大丈夫、一流ブランドの名前がつくとガラス玉でもとんでもなく高価ですからビーズ細工で80万なら納得しますよ」

ばあや「器用だわね。知恵も働くし家政婦にしとくのはもったいないわ」

マリア「いやいや天才は忘れた頃にやってくる。」

旦那「で、聞きたいことは?」

奥さま「なんでもないのよあなた♪」

旦那「そうかい。それじゃあ、シャワーでも浴びてくる…………はぁはぁ、おマリとかいったね!おかげで助かった!!」

マリア「いえいえ甜菜とは砂糖大根のことなり~ハッハッ」

ばあや「わからないわね」

旦那「これはほんのお礼の気持ちだ受け取っておくれ」
【5万円】
マリア「えっ」

旦那「いやー、実に助かった。ありがとう。」

おマリこと夢前マリアはこのとき、初めて真面目に働く意外にも大金を稼ぐ方法があることを知ったのです。

頭を使ってガバッと儲ければ借金も早く帰せると気づいた瞬間、マリアのもう一つの本質つまりなにがなんでも金儲けという守銭奴の部分にスイッチが入ったのでした。

マリア「……浮気してれば携帯を2.3台つかいわけているはず。ふふふっ」


~~

翌日……
ピンポーン

ばあや「あら、お客様」

マリア「私がでまーす。はい、どちらさま?」

まゆみ「あのー、まゆみと申しますが」

マリア「あー、はいはい。新宿のまゆみさんですね。」

まゆみ「彼いるの?ゆうべ突然たずねてこいってメールもらったんだけど、今まで自宅には電話もするなっていわれて」

マリア「旦那様から伺っておりますわ。どうぞお二階へ(あと、品川のあけみさんと麻布のともみさんね)」

ピンポーン

ばやあ「あらまた」

マリア「はいはい」

あけみ「すいません、私、あけみというものなんですが」

マリア「はいはい、伺っておりますよー。どうぞどうぞ、中へ」

ピンポーン

ばやあ「ええと……」

マリア「はいはい、私がでまーす♪」

ともみ「あの……」

マリア「分かっておりますわ!ささ、中へどうぞーー!」
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