ー日常ー街の住人達【4】

ーロンドン:クラスター家屋敷ー

次男「兄貴、こんな馬鹿野郎はその矛で切り刻んで下水に流しちまおう。」

ネオン「!!」

ポロ「話が違います!!」

長男「まあ待て、ネオン。この矛がなんでも斬れるというのは本当か?」

ネオン「ええ」

長男「ふうむ、だとするとこういう結構な物を手に入れた手柄で馬鹿な真似をしでかした罪を帳消しにしてやれるかもしれん。ついてこい」

ネオン「どこへ?」

長男「地下室だ」

ネオン「この屋敷に地下室があるんですか!?初耳だ」

ポロ「ええ」

長男「知らなかったのも無理はない。これは大変な秘密なのだ。クラスター家がなぜ長期間にわたって繁栄を保てたか、実は我らの先祖のひとりに百年物前に生きていた占い師の老婆が幸運を呼ぶ妖精を手に入れたところから始まるのだ」

ネオン「はあ?!」

長男「その老婆、表向きは占い師だったが本当は魔女だった」

ネオン「ずぁっ?!」

ポロ「階段でコケるとあぶないですよ」

ネオン「なんかあまりにも意外な展開で」

長男「要するにその魔女が毒リンゴを使ってザ・フォーシーズン・チャイルドというラッキーフェアリーを捕まえたのだ」

ポロ「白雪姫も交じってきましたね。」

ネオン「ザ・フォーシーズン・チャイルド?フォーシーズンは四季、チャイルドは子供、子供を童といいかえると……」

ザ・四季・童

長男「魔女は魔法で絶対に切断できない鎖というのをつくり、それで要請を縛って地下室に閉じ込めた。つまり幸運を呼ぶ妖精がずっといたからクライスラー家は反映し続けたのだ。」

長男は地下の扉に矛を振るった。分厚い扉は簡単に真っ二つになる。

次男「おおさすが!」

三男「これならあるいは!」

鎖が見えない何かを捕えているらしく。不自然に空間を作って宙に浮いている。

長男「見ろ。二百年間封じ込めておいたためほとんど実体がなくなっている。これが自然な状態なのかそれとも弱って死にかけているのか判断しかねているのだが、とにかく我々兄弟は幼いころ父から子の話を聞かされて以来鎖を断ち切る努力を続けてきた。妖精を解放してやってさらなる幸運を授けてもらおうと思ったのだが、どうしても斬れん。ダイヤモンドカッターや超高熱バーナー、硫酸やレーザーメスまで試したが魔法に邪魔され鎖を傷つけることすらできなかった。しかし、もしかしたら……なにもかも断ち切る矛よ魔法の鎖を切れ!」

渾身の力で振り下ろした矛は鎖の束をいともたやすく断ち切った。

次男「やった!」

しかし、次の瞬間、突風が渦巻き、鎖の近くにいた三兄弟が風に飲み込まれた。

ガオンッ!と不気味な音と共に現れたのは三人の人間を不自然に固めてひとつにした身体に大きな一つの目玉をもった化け物だった。

『よくも長い間とじこめてくれたな!』

ラッキーフェアリーは本来おとなしい妖精だが二百年も監禁されていたため性質がねじ曲がり、恐るべき魔物に変貌していたのだ。

ネオン「ひっ!」

『皆殺しだ!』

矛を手に取り近くにいたネオン目がけ振り下ろした、そこにミハイルが現れた!

ミハイル「ここだー!」

天井を突き破り地下までほぼ垂直に落下して地面すれすれで急停止する。

しかし、目の前に突然振りおりてくる矛。

ミハイルは矛をよけるため反射的に盾を振り上げた!

大爆発!!

と思いきや……。

ポロ「消えた!?」

ネオン「消えてしまった!?」

ミハイル「ありゃ、矛も盾も消えた」


~~


ー常春の国:エメラダ宮殿ー

ミハイル「…………ああそうか、あまりにもすさまじいエネルギーのため爆発直後、一兆分の二秒後に魔物を取り巻く半径一メートルの空間は時間の壁をぶち破り数百億年過去にタイムスリップしてそこで本格的に爆発したんだ。これがいわゆるビックバンでそこから宇宙が創生されたわけだ。とゆーことはこの宇宙は僕が作ったようなものだ。ワハハハハ」

チコ「どーりで住みにくい世の中なわけですよ……。」

その後、ネオン君はお兄さんたちがいなくなった分も一生懸命働いてやがて立派な暗黒街の顔役になったそうです。

めでたし、めでたし
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