ー日常ー街の住人達【3】

ー池袋:宗方フルーツー

禅「どう……も」

六花「うぉ……」

禅「どうか……しま……したか?」

六花「いや、珍しいというかなんというか…」

禅「ちょっと……」

六花「ちょっと?」

禅「……」
カタカタ
『ちょっと出かける用事がありましてね。』

六花「その人工ボイス凄いねー」

禅「……」
カタカタ
『ただの読み上げソフトですよ』

六花「でも、あたしの声だから凄い違和感」

禅「……」
カタカタ
『良い声です』

六花「照れるわー」

鈴猫「こんにちは」

禅「……」
カタカタ
『お、こんにちは』

六花「ちわー!」

鈴猫「あっ……」

六花「どうかしましたー?」

鈴猫「あ、いや。リッカちゃんの声だったから、ちょっと驚いた」

禅「……」
カタカタ
『思っている以上に六花さんのサンプルボイスは自然なようですね』

六花「あたしの声なのにしゃべり方がちゃんとしてるから不気味ー」

鈴猫「そこなんだ」

禅「……」
カタカタ
『問題がありましたら変更しますけど?』

六花「問題はないけど、そんなすぐに変えられるのー?」

禅「……」
カタカタ
『いくつかパターンはありますから例えばこの声……あーあー、テステス、らーららーっ♪』

鈴猫「あ、この声聞いたことある。」

六花「なんだっけ……確か歌手だよね」

禅「……」
カタカタ
『そうです。歌手の歌声んら作ったものでーす。』

鈴猫「これって許可は?」

禅「……」
カタカタ
『もちろん取っていません。ふふっ』

六花「これで悪いことできそうだよね」

禅「……」
カタカタ
『今パッと思いつく限りで40通りほど』

鈴猫「コラコラ……って、パッと40?!」

禅「……」
カタカタ
『もちろん悪用はしませんよ。必要に迫られるとき以外は』

鈴猫「必要に迫られる時ってどんな時……」

六花「他には?」

禅「……」
カタカタ
『あとは棒読みちゃんとかボイスロイドなどですね。』

六花「男の声は?」

禅「……」
カタカタ
『……この声とか』

鈴猫「このドスの利いた声は……」

六花「拳二さん?」

禅「……」
カタカタ
『正解です。電話で脅すときとかに使ってます』

鈴猫「悪用じゃない」

禅「……」
カタカタ
『ちゃんと許可得てますから。使用料も支払ってますし』

六花「ちゃんとしてるんだ」

鈴猫「むしろ、許可したんだ…拳二さん」
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