ー日常ー街の住人達【3】

ー某所:レストランー

兜馬「君との食事も久しぶりだな」

ミッシェル「……」

柏「お誘いいただき光栄です」

光臣「……」

兜馬「君たちも掛けて楽にするといい、今日は貸し切りだ」

ミッシェル「では、遠慮なく」

光臣「……」

柏「光臣、お前も座れ」

光臣「はっ。」

柏「すいません、こいつは命令は聞いても融通が聞かないもので」

兜馬「問題ないさ、楽にしてくれ。料理を運んでくれ。」

オーナー「はい、すぐにご準備いたします」

柏「……」

ミッシェル「……」

柏「兜馬さん、ミッシェルはいかがです?」

兜馬「普通なら酷評するところだが、残念なことに彼女に不満は一つもないよ。よく働いてくれている。」

ミッシェル「ども」

柏「そうですか。」

兜馬「ただ、若いお嬢さんを連れまわし過ぎている事と働かせすぎているんじゃないかと少々私が反省しているよ」

柏「コイツなら大丈夫ですよ。そんな軟じゃない」

ミッシェル「もちろんです。ついでにいえば働き過ぎは社長自身かと」

柏「確かに、世界中探しても兜馬さんほど働いている人間は指の数にも届かないと思いますよ」

兜馬「ははっ、そうでもない。私も歳のせいか疲れが取れなくなっている。」

柏「シンプルに働き過ぎですよ」

兜馬「ははっ。」

オーナー「アペリティーヴォ(食前酒)のマルティーニアスティスプマンテでございます。」

兜馬「うむ、いただこう。」

ミッシェル「いただきます。」

光臣「……」

柏「ああ、すまないが、こいつには水を頼む。料理もハーフでいい」

オーナー「承りました。」

兜馬「それで大丈夫なのかい?」

柏「はい、こいつはもともと霞食って生きているようなものなんで……。」

兜馬「ほぅ……。それはまた……先生が気に入りそうな話だね。」

柏「ええ、多分検査したくてたまらなくなると思うので合わせてはいません」

兜馬「はは、正解だね。」

オーナー「前菜の鮮魚カルパッチョ彩り野菜のマリネトリッパナポリ風でございます」

ミッシェル「ガツガツ」

兜馬「対して、ミッシェル君は気持ちのいい食べっぷりだ」

ミッシェル「身体が資本ですから」

柏「相変わらずだな」

ミッシェル「ええ、ワタシハ霞食っていきてられないので。」

柏「ははははっ、言われているぞ。光臣」

光臣「……」

柏「そうだ、今更だかせ今日のコース内容は?」

オーナー「はい、前菜に続きまして、生ハムとパルメザンチーズのサラダ、サーモンとほうれん草のクリームスパゲティ、ホタテ貝のグリル 生ウニのせトマトバジルソース、肉料理は和牛ホホ肉の赤ワイン煮込み、ドルチェは自家製ティラミスとなっております。」

ミッシェル「ほぉ」

兜馬「なんども言っているが、今日は我々の貸し切りだ。コースといっているがおかわりが必要なら好きなものを追加して構わないよ。」

ミッシェル「マジですか……おっと。」

兜馬「はは、構わんよ」

柏「じゃあ、俺もお言葉に甘えて……さっきの酒をボトルで持ってきてくれ。あと、適当に赤ワインもな」

オーナー「かしこまりました。」
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